その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに②(58)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに②(58)

音乃木坂図書室 司書

一方時刻は同じ頃...

既にBiBiの3人は現地入りしていた。

今回はサポート役として希が、衣装担当としてにこのクラスメイトである加藤柚梨愛が帯同している。

会場へ入ると、A-RISEの3人はリハの最中だったため、他のスタッフによって控え室へと案内される。

そこはBiBi様と掲示されており、控え室のテーブルにはケイタリングが用意されており、プロのアイドルと全く同じ扱いであった。

「何これすごいわね…」控え室に入るなり驚きの声を上げる絵里。ラブライブ決勝大会の時は控え室はあったが、 ユニットごとの個別ではなかったし、今までに経験したことのない扱いで、それこそ業界人やプロのアーティストかのような状況に、別世界へ来たかのような感覚であった。

「ふっ…宇宙No.1アイドルの私からしたらむしろ物足りないぐらいね」

強気な発言をするにこであるが、言葉とは裏腹に、その表情はとても嬉しそうである。

にこにとっては子供の頃からアイドルは憧れの存在であり、そのアイドルとして今自分がこの場にいることが他の何よりも嬉しいのだ。

そんな中真姫はいつも通り冷静であり机の上のお菓子をほおばりながら言う。

「A-RISEの後私たちもリハーサルやらせてもらえるんでしょ。それまではゆっくりしましょう」

そう言うと真姫は5人分のティーカップを用意して紅茶を入れ始める。

この辺はできたお嬢様である。

それからの5人はライブ前の緊張とは無縁といった様子でおしゃべりに興じていた。

その頃、ライブのリハ中のA-RISEはと言うと…

スクールアイドル時代から数多くのライブをこなしてきたA-RISEとは言え、プロとしての初ツアー初ライブである。

それこそ本番さながらの緊張感を持ったリハを行っていた。

キレのある動きはより一層磨きかかっており、その人気におごることなく努力しているのがうかがえる。

デビューして間もない新人アイドルとは思えないライブであった。

A-RISEの3人はリハを終えるとそのままBiBiの控え室へと向かった。

「ハロー! BiBiのみんな元気ー!」 と言って陽気な笑顔で控え室に入るツバサ。

その後にはあんじゅと英玲奈の姿もある。

リハの後と言うことで、額にはまだ汗が滲んで見える。

「絵里、希、待ってたわよ。にこちゃん、真姫ちゃん今日はよろしくね。後はえーっと…」と言ってツバサは柚梨愛を見つめる。

すかさず絵里がフォローする。

「彼女はBiBiの衣装担当の柚梨愛だよ。私たち音乃木坂の同級生なんだ」

するとツバサは柚梨愛の手を取り言う。

「そっか、宜しくね柚梨愛ちゃん!」柚梨愛は日向と同様アイドル好きであり、ツバサに手を握られ、顔真っ赤にして喜んでいる。

「てゆうかさぁー聴いてよう絵里、希!」 ツバサは2人に話し始める彼女たちは大学の同級生なのだ仲良さそうな3人を見て、にこは羨ましそうに言う。

「私も駿女に行けばよかったな」それを耳にして真姫がすぐに突っ込む。

「いや、にこちゃん、それは無理。学力的に」

即座に反応するにこ。 「うるさいわね、私だって本気出せば行けたわよ!」

「じゃぁ簡単な問題だけど、日本の憲法は何条あるか知ってる?」

「日本の憲法って何よ。憲法は中国でしょ」ため息をつく真姫。

さすがにこといった感じに他の皆は笑っていた。

「ふふふ、にこちゃんはやっぱり面白いね」ツバサにそう言われ、なぜだかうれしそうに照れた素振りをするにこ。

一言も褒められていない。

ただ、大ファンだったA-RISEのツバサに面白いと言われたのが嬉しかったのである。

「ツバサさん、A-RISEの皆さんお久しぶりです。今日はよろしくお願いします」

「あぁ、真姫ちゃんは相変わらず可愛いね。そんなにかしこまらないでよ。うんよろしくね!」

真姫とツバサはスクールアイドルで行った、通称サニソンライブの際、作曲を担当した真姫にツバサがアドバイスを送りつつ、距離を縮めていたのだ。

なお、そんな真姫を眺めてにこはやきもちを焼いていた。

そんな経緯もあって、ツバサは真姫をかわいいと言って特に気に入っていたのである。

「ツバサ、今日は誘ってくれてありがとうね」

「どういたしまして。それより絵里、BiBiは大丈夫?時間も全然なかったと思うけど、私たちに負けないパフォーマンスを期待しているよ。それじゃまたあとでね」

そう言い残し、A-RISEの3人は控え室を後にした。

終始隅のほうに立っていた柚梨愛はぼそっとにこに言う。

「ねぇ、にこちゃん…こうして思うと今私はすごい人たちと同じ空間にいる気がする…」

それもそうだろう。柚梨愛にしたら、ついこの間前まではA-RISEにしろμ'sにしろ、憧れに近い存在として見ていたのだ。

それが今、同じ場所に関係者としている自分が信じられない気分だったのである。

「そう?確かにA-RISEは凄いけど、あんたがいつも一緒にいるのは誰だと思ってるの?宇宙ナンバーワンの私よ。もっと堂々としてればいいのよ。ビビる必要なんてないわ!」

さっきまでA-RISEのファンのような姿からは別人のように頼もしいにこである。

柚梨愛はにこを抱きしめる。「ありがとうにこやん…がんばってね!」

実際にこのメンタルは凄い。自信をトップアイドルと信じ、今はそれに近い存在となり、A-RISEを前にしてもひるむ事は無い。

いやA-RISEを前にするとファンになってしまうところはあるが…
それをおいても、にこのアイドルにかける想いは凄いのだ。

そこへ柚梨愛が衣装を用意する。

今日の衣装はホームページの写真にも使用した黒色のスーツとハットであり、とても格好良い衣装である。

「この衣装最高よね、柚梨愛ありがとう!」

絵里に言われ、嬉しそうに柚梨愛はうなずく。

高校時代は同じクラスになったことがなく、絵里と希はとはほぼ接点がなかった。

だが、今にこを通じて3人は知り合い、高校時代に気づけなかった友情を築いている。

それが本当に嬉しい柚梨愛であった。そしてBiBiにリハの声がかかる。

「よーし、行くわよ絵里、マキ!」 「ええ、リハから全開で行くわよ!」

にこの声掛けに絵里が答え、真姫も続く。

「うん、楽しんでいきましょう!」こうしてBiBiの3人はリハへと向かった。

「さてとうちらは物販の手伝いに行こうか」

希と柚梨愛は共に物販の手伝いへと向かう。

まもなくである。BiBiの初ライブが刻一刻と迫っていた。

続く

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