オースン・スコット カード著 田中 一江 訳
バガーとの戦に勝利したバトルスクールの子ども達は、それぞれが故郷・家族の元へ戻っていた。 だが平穏な日々は続かない。
戦の天才であった少年少女たちは何者かによって誘拐されてしまう。
味方になれば強力な武器になるが、敵となった時には大きな脅威になる。
それがエンダーと共に戦った子ども達なのだ。
エンダーの部下であったペトラも誘拐されてしまう。
更にビーンに至っては何度も命を狙われる事になってしまうのだった。
その相手はかつて、危険人物としてわずかな期間でバトルスクールを追放されたアシルであった。 アシルは巧妙な手法により、ロシアを利用しかつてのエンダーの部下たちを誘拐していたのだ。
更には中国までもを自分のものとするべく利用して、世界の権力を手に入れようとしていた。
一方で命を狙われながらも生き延びたビーンは、ロックを名乗る人物がエンダーの実兄、ピーター・ウィッギンということを知っており、ピーターとの接触を図る。
そして自分がロックである事を公表するように提案するのであった。
全てはバトルスクールの仲間を救出するために...
やがてそれは多くの国を巻き込んだ権力闘争へと化していくのであった。
今作はエンダーのゲーム姉妹編。エンダーズ・シャドウの続編にあたる。
エンダーズ・シャドウを読んでいないと内容が分からない事があるので、エンダーのゲームとシャドウを先に読むことを強くオススメする。
今作はビーン、ピーター、ペトラの3人の視点で描かれている。
ピーターに関しては過去の作品ではあまり多くは語られておらず、天才だが暴力的で少々問題のあるエンダーの兄というイメージだった。
だが今作で、心理面等含め成長していくピーターの姿が描かれており、印象的である。
また、ピーターがどういった形でヘゲモンになったのかも描かれている。
ビーンに関しては相変わらず、天才的であるが、自分の秘密を知り、最後のペトラとのシーンでは少々切なくなってしまうが、その才能を遺憾なく発揮し、先陣を切って活躍する姿はとてもたくましい。
今作も実に面白い作品である。