小野 不由美(著)
才国にある宝重、華胥華朶。それは国のあるべき姿を夢で見せてくれるという。
采麟はわずか8歳の少女であり、新たに王に登極した砥尚の華胥の夢を見せてあげようという言葉を信じていた。
だがわずか20余年で砥尚の王朝は崩壊を始めていた。
それと共に才麒は不調に襲われる。
王が道を失ったがための病、失道であった。そこへ大きな問題が生じる。
王の父が何者かによって殺害され、王弟が失踪するという事件が起きた。
果たしてこれは誰かの陰謀であろうか、事の真相は...
才国の王朝の最後を描いた表題の「華胥」をはじめ、戴国の驍宗と戴麟が行方不明になる以前を描いた「冬栄」、芳国で前王、仲韃を討った月渓、そして景国王に登極して4年後の陽子と雁の大学へ入った楽俊を描いた「書簡」。
600年以上王朝が続く宗国の太子であり、世界中を巡っている利広を描いた「帰山」の5話からなる短編集である。
十二国記を読んでいると、その後の続きがどうなったのか、それ以前はどうだったのかと気になる事が多いが「華胥」以外の作品はそんな思いにこたえてくれたかのような作品である。
とくに陽子に関しては気になっていたため、短編で読めたのは嬉しい。
他にもまだ出てない国もあるので、いつか読めるのを願うばかりだ。
長編にも負けぬ面白い作品である。