その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-008 陽の射す場所で④(52)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-008 陽の射す場所で④(52)

音乃木坂図書室 司書

BiBiの3人による謎の会話に呆気に取られていた他のメンバーであったが、海未が話を戻すべく喋り出した。

「とにかく練習ですよ!絵里も突然意味不明な事を言い出さないで下さい。

みんななんの為に来たと思っているのですか!真姫が別荘を用意してくれたのですよ。

遊びに来たわけではないのです。それに9人で練習できる時間は限られているのです。

1日たりとも...いや、一秒たりとも私たちに無駄にできる時間はないのです!」

穂乃果と凜とにこは不満そうな顔をしている。

だが、この鬼軍曹かの状態の海未に何を言っても効果はない。

それは過去の合宿や日々の練習を見ても明らかだろう。

もしもそんな鬼軍曹と化した海に対抗できるとしたら、唯一、この人物だけだろう。

それは...ことりである。 天使のようなことりがこの争いへと参戦した。

ことりが海未へと話しかける。

「こんな素敵な場所にみんなで来たから、穂乃果ちゃん達が遊びたいっていう気持ちもわかるなぁ」

「でしょ、ことりちゃんもそう思うでしょ?海未ちゃんにももっと言ってよ」

穂乃果はことりに急かせるように言った。 「ダ・メ・で・す!練習です!」

海未の牙城はそう簡単には崩れない。 厳しい口調で言い放つ。

鬼軍曹と天使の壮絶な戦いが幕開けた。

「でもさ海未ちゃん、こんなにいい場所なんだよ?」

「ダメです。私たちには練習あるのみです!」

「せっかくこんなに天気もいいんだよ?」

「最高の練習日よりですね」

「こんな最高の場所で心がわくわくしてこない?」

「そうですね、アキバドームの舞台に立てると思うとワウワクしますね。だから練習しないとですね」

「久し振りに9人そろっての遠出だよ?」

「はい、ですから時間を無駄にする事なく練習に励みましょう」

「今日の夕ご飯楽しみだね。シェフの御飯だよ」

「たくさん練習したら御飯がおいしいですよね。真姫に感謝ですね」

「チーズケーキはあるかなぁ」

「どうでしょう、でもデザートもあれば嬉しいですね」

「海未ちゃんはタルトケーキ好きだもんね」

「タルトのチーズケーキが出たら最高ですよね」 「そしたら2人で分けて食べようね」

「はい、そうしましょう」

「そういえばこの前行ったケーキ屋さんの新作すごく美味しかったよね」

「あれは絶品でしたね。また今度行きましょう」

鬼軍曹と天使の戦いはは互いに譲らず小康状態であった。

と言うより途中からスイーツの話題に興じる女子2人の様相を呈しているが
...だが、スイーツの話題に一区切りついた所で天使が再び仕掛ける。

「練習も大事だけど、こうして9人で集まれるのも少なくなってきたから、今日ぐらいは遊んでもいいんじゃない?」

「ことりは甘いのです。そんなことでは敵には勝てませんよ!」

果たして海未が言う敵とは一体何の事だろう、たしかに勝負ではあるが、表現の仕方が...と思ったのはことり一人だけではなかった。

しかし、ことりも負けていない。

「ねぇ、海未ちゃん、こんなに綺麗な海が目の前にあるんだよ?」

「はい、砂浜でのトレーニングは最高ですね。ダンスに必要な強い足腰が作れますからね」

「別荘の裏には美しい山もあるよ?」

その瞬間、ことりは口にだした”山”というWordに一瞬海未の表情が変化したのを見逃さなかった。

「目の前に山があるんだよ?」

「山...はっ...!?だ、だめですよ...練習しないと...私たちは登山に来たわけではないのですよ...」

海未は登山が好きな山ガールである。

山と聞いただけで、遊ぶが登山へと変わっており、明らかに動揺が見て取れる。

そしてことりが追い打ちをかける。

「天気もいいし、最高の登山日和だよ?」

「と...登山...山が私を呼んでいる...」

ことりの言葉により海未は完全にKO負けであった。

鬼軍曹敗れたり、天使の勝利である。

海未は真姫をグイっと引っ張りよせ、何やら小声で話している。

しばらくして皆の方へクルリと向き直り海未は言う。

「えーとですね。今回の件を慎重に審議した結果ですが、ここの上の頂上にはこの街を一望できる展望台があるそうです。そこには地元の食材を取り扱ったスイーツが人気のレストランがあり、自然を利用したアスレチックがあり、天然温泉もあるそうです。つまりですね...レッツ、マウンテンですよー!」

人が変わったかのようにノリノリの海未である。

さっきまでの鬼軍曹っぷりはどこへ行ったのやら...
山と聞いただけで、あれだけダメだと言っていたのに、呆気なく前言撤回する海未であった。

「私も小さい頃に行った事あるけど、まぁそれなりに楽しめると思うよ。それに展望台までは500mぐらいあるから結構いいトレーニングにもなるわね。遊びと練習も兼ねられて、一石二鳥って所かしら。じゃあ部長、ここで一言」

真姫の振りに全員が”じーっ”と言って花陽を見つめる。

この振りはμ'sの中でのセオリーであった。

「えぇー!?出た、いきなりの無茶振り...」

といいつつも軽く咳払いをして、皆を見つめ返す花陽。

「コホンッ...では私から一言。今日はμ's復活を記念して、全力で遊ぶぞー。レッツマウンテン!」

花陽の言葉に全員で声を上げ、足早に別荘の外へと向かう。

やはり年頃の女の子である。 しかも誰よりも仲の良い9人だ。

皆で集まると遊びたくなって当然だろう。

μ'sの凄さの一つは、9人のこの結束力の強さである。

個性的な性格の子が多いため、言い争ったりしてしまう事もあるが、逆にそれは仲の良い証拠でもあり、互いに信用し、信頼し合ってるからこそである。

何も隠すことなく素の自分を出せる存在、それがどれだけありがたい事であろうか。

いつの日か、もっと大人になれば、それぞれ離れてしまう時も来るだろう。

だからこそ、今この限られた時間の中で、こうして皆でいられるのが何より嬉しい9人であった。

続く

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