持田 冥介 (著)
小さな町に住む高校生の水森陽向。
彼は生きづらさを感じていた。
いつの日からか両親が不仲となり、家は居心地の悪い空間だった。
両親は自分を介してしか話をしない。
食事も別々。
そんな家庭に嫌気がさしていた。
だが彼の世界は突然変わる。
真夜中に目を覚ました瞬間に...
導かれるようにして向かった場所は、夜の公園だった。
この公園は危ないという理由で、遊具はすべて撤去され、球技も禁止。
何もかも禁止された、ただの広いスペースと化した公園であった。
その公園で陽向が見た光景、それは殺し合いをする少年少女だった。
だが彼らは実際に殺し合っているわけではない。
死んでも生き返るという非現実的なデスゲーム。
ルールは単純、殺された方の負け。
自分の好きな物や特技を具現化して戦うのだ。
ここに集まるのは現実世界に馴染めない子供たち。陽向はルービックキューブを武器とし、最強である刀使いの少女と殺し合う。
子供達が殺し合う理由は何なのか。
それが抱える問題に向き合うべく、今夜も陽向は公園へと向かう。
この作品は誰もが持つトラウマであったり、思春期の子供達の悩みや苦悩家族や友人にかかえる問題、生きづらい現代社会において、生きるということを問いかけるような作品だ。
便利な現代社会であるが、それとともに複雑化する世の中において、答えは一つではないという事を投げかけながら、殺し合う中で一つの答えにたどり着くが、それがすべて正しいとは限らないし正しくないとも言えないだろう。
そんな時代だからこそ、多様性や柔軟性というものを大切にしていくべきだと思う。