八目迷 (著)
塔野カオルは駅のホームで、ある噂を耳にした。
ウラシマトンネルー 入ると欲しい者が手に入るが、その代償に年を取ってしまうという都市伝説のような話であった。
彼は田舎町に住む高校生、この日彼の通う高校に、一人の転校生がやって来た。
東京から来た少女、花城あんず。彼女は周囲を遠ざけ孤立していた。
だが彼女は嫌がらせをされてもやり返す程の少女だった。
ウラシマトンネルを発見したカオルは調査を始めるが、あんずに見つかってしまい、トンネルの噂話(真実)を告げる。
すると彼女は、互いのほしいものが得られるよう協力して解明しようと提案する。
カオルは亡くした妹を取り戻すため、あんずは特別な存在になるために...
2人の熱い夏が始まる...
表紙の美しさ、タイトルに魅かれて購入。
昨今主流の青春ラノベかと思いきや、これは青春SFだった。
時間を取り扱っているが、SFの堅苦しさや読みづらさは一切なく、とても良い作品だと思う。
1人の強烈な個性に出会う事で周囲から蔑まれても、変わろうとする少女の姿には胸に来るものがあるし、カオルとあんずは互いにに複雑な家庭環境であり、少しずつ互いに惹かれていく中で迎える結末は衝撃的でさえある。
物語に引き込まれて一気に読んでしまうであろうオススメ作品だ。