アラン・ディーン フォスター (著), 金子 司 (翻訳)
映画トランスフォーマーの小説版である。
映画を先に見てから小説版を読むと様々なシーンが脳内で再生されることだろう。
物語は1897年、 北極にてアイスマンこと、 メガトロンが発見されるところから始まる。
アーチホールド・ ウィットウィキーによって発見されたアイスマンは、 その後政府のごく限られたもの以外知ることのない極秘事項として隠されるのであった。
時は流れて現代。
カタールにあるアメリカ軍基地が正体不明の何者かに襲われる。
それはメガトロンを、 オールスパーク( 命の源のようなもの) を求めて地球へとやってきたデストロンであった。
デストロンはコンピューターに侵入し、 アイスマンだ政府の極秘情報を盗もうとしていた。
アメリカ軍は道の機械生命体との戦闘を余儀なくされていた。
一方その頃、 とある高校に通う少年、 サムウィトウィッキーの元でも、 ある出来事が起こっていた。
16歳になったサムは学校の成績と引き換えに父に車購入の資金を半分出してもらえることになっていた。
意気揚々と車販売店へ向かうも、 着いた先は 寂れた中古自動車ショップであった。
すっかり気落ちするサムであったが、 おんぼろの黄色いカマロを4000ドルで購入することになる。
初めこそ渋っていたサムであったが、 次第に自分の車が気に入っていくのだった。
しかしある日、 車が盗まれてしまう。 必死に追いかけて行った先で サムが目にした光景は...
車からトランスフォームした謎の巨大な機械生命体であった。
彼の名はバンブル。 音声機械が壊れており、 喋ることはできないが、 ラジオの音を使いサムとコミュニケーションを取ろうとする。
そしてバンブルとサムのもとに次々と集まってくるサイバトロンの戦士たち。
長年続いているサイバトロンとデストロンの戦いが地球で人類を巻き込んで再び起ころうとしているのであった。
こうして未知なる生命体に接触し、戸惑いながらも受け入れて、気づけば自分のカマロのバンブルビーを友人と呼ぶようになるサムの姿は清々しい。
またキャラクターの設定もよく、 バンブルの夕刊ながらも、 少しおどけた姿が可愛らしく とても好感的である。
映画版小説版ともに SF 作品としてとても楽しめるものであろう。