その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから②(71)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから②(71)

音乃木坂図書室 司書

愛乃の家でその後も懇談を続けた穂乃果。

気づけばお昼を大きく回っており穂乃果は愛乃宅を後にした。

愛乃の家はアキバの隣、御徒町であり、アキバまで歩いても10分ほどの距離である。

次の目的地に向かおうとする穂乃果であったが、お腹から大きな音が鳴っていた。

活動限界が近い証拠である。

穂乃果はきちんと1日3食、いや時によっては4食、そして間食と、とにかく食欲が尽きる事は無い。

穂乃果は行きつけの定食屋へと向かう。

そこの定食屋はスタンプカードがあり、スタンプが貯まると好きな定食がタダになると言う特典があり、まるでサラリーマンが通うかのごとく穂乃果は通っているのだ。

人気アイドルとは思えないような穂乃果であるが、それもまた彼女の魅力の1つなのだろう。

空腹を満たした後に穂乃果が向かった場所はことりの家だった。

ことりの家は穂乃果の家からは少し離れていて御徒町よりである。定食屋から徒歩数分、南家の前に到着した穂乃果はインターホンを鳴らす。

インターホン越しに応じたのはことりの母だった。

「こんにちは、高坂ですけどことりちゃんいますか?」 

といった穂乃果に少し待っててと言って、数十秒後、玄関からことりの母が出てくる。

音乃木坂の理事長を務めることりの母、年齢は穂乃果の母より少し年上の40代後半であるが、30代前半にも見える美しさである。

「穂乃果ちゃんこんにちは。今ことりはお父さんと出かけてるんだけど、もうそろそろ帰ってくる頃だから、よければ部屋に上がって待っててくれる?」 

今日は理事長ではなく母の顔である。普段学校では凛とした姿の理事長であるが、学校を離れれば優しい母なのだ。

小さい頃からお世話になった穂乃果であり、家族ぐるみの付き合いで、ことりとは姉妹のように仲良く育ったため、ことりの母にとってもかわいい娘みたいな存在なのだ。

穂乃果は遠慮することなくことりの部屋で待つことにする。

「そういえば…ことりちゃんの家に来るのって久しぶりだなぁ…高一の時以来かな」

昔はよく、海未も含めて互いの家を行き来していたが、高校生になってからは音乃木坂から近い穂乃果の家に集まることが多くなり、今では打ち合わせや細かい作業(衣装作成等)をする際は必ずと言っていいほど、穂乃果の家に集まるようになっていた。

そんなことを思いながらことりの部屋を見回す穂乃果。

ふと目についたのは写真館に入られた何枚かの写真だった。

そこにはμ‘sとして3人でスタートして初めてライブをした時の写真、9人となりみんなで合宿をした時の写真、ラブライブで優勝を果たした時の写真、さらにそのライブでA– RISEや多くのスクールアイドルとともに撮った写真等が飾られていた。

ことりの中でもμ‘sが特別なものだったのが見えた見てとれる。そ

れらの写真は穂乃果にとっても、どれも大切な思い出なのだ。

その中でさらに1枚の写真が目に入る。

ことりと穂乃果、海未の3人が一緒に映る幼少時代の写真…

写真の下には手書きで“ずっと一緒だよ“と書かれている。

写真を手に取り見つめる穂乃果。

「懐かしい写真よね」
突然声をかけられ驚く穂乃果だったが、ことりの母がお茶菓子を持ってきてくれたのであった。

そのまま穂乃果の前に差し出すことりの母。

「その写真、小学校に上がる前の写真よね。

前にことりが海外留学するって言う話があったでしょ。その時いつもことりはその写真見てたの。

出発が近くなって部屋の荷物を片付けていた時も、最後までその写真はそのままでね。

きっとあの時、ことりはまだ穂乃果ちゃんと海未ちゃんから離れたくなかったんでしょうね。それだけことりにとって2人は大切なんだと思う」

ことりの母の言葉に穂乃果は胸が熱くなる思いだった。

昨年の事、ことりが留学すると言うことになった。ことりはラブライブに夢中になる穂乃果に打ち明けることができず、一方で穂乃果もことりの気持ちに気づけずに…

それが理由で2人は初めて喧嘩をした。

その後も出国直前まで互いに素直になれずに…

何とか出国直前に間に合った穂乃果が、ことりを止めたからいいものの、もしあの時、間に合っていなかったら…

今頃ことりは日本にいなかった。

それに伴い、その後のμ‘sの活躍もなかっただろう。

それを考えても、本当にあの時、間に合ってよかったと穂乃果は思っていた。

あのまま仲直りすることもなく、ことりが留学してしまっていたらと考えると…とても怖いし悲しいことだっただろう。

改めてことりが日本に残ってくれて良かったと穂乃果は思っていた。

「私もことりちゃんと一緒にいたいと思ってました。ことりちゃんが日本に残ってくれてほんとによかったです。ことりちゃんがいたから、μ‘sも最後までやり遂げられたんです」「

ふふふ…ありがとう穂乃果ちゃん。ことりにとって穂乃果ちゃんと海未ちゃんは、小さい頃からずっと一緒だった姉妹みたいなものなのよね。留学の話を棒に振ってまで残りたいと思う位だもの」

ことりの母の言葉に、少し恥ずかしそうに照れた素振りをする穂乃果。

自分の大切な親友の母にそう言われると、なんだか面映ゆい感じの穂乃果であった。

「それはそうと、またμ‘sをやってくれるとは正直思っていなかったの。それもありがとうね。

実はね、ラブライブの運営の方が、あの後直接音乃木坂にμ‘s復活を直訴しに来てたのよ。

私も困っちゃって…でもそれをμ‘sのメンバーに伝えるわけにもいかなかったからね。

でも、私も1人のファンとしてまたμ‘sが見れるのは嬉しいんだ」

「そうだったんですか…すいません、μ‘sのことで色々と…」「

気にしないで。それは理事長としての私の仕事だし、それにそれだけみんなμ‘sが好きってことよ。私もことりがμ‘sとして活動する姿を見れるのは嬉しいし、μ‘sのこと応援してるから」

「はい、ありがとうございます。μ‘sのフィナーレを最高の舞台でできるのは幸せですよね。みんなの期待に応えられるように最後まで全力でやります!」

「うん、がんばってね」そう言ってことりの母は部屋を後にした。

きっと、直前で留学取り消しを許したのも、娘がμ‘sとして生き生きとして姿を見せていたからだろう。

母として、音乃木坂の理事長として、誰よりも近くでμ‘sを見てきたのだから。

続く

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