河野 裕(著)
日本の片隅にある街、咲良田。
この街は特殊な能力を持つ人間が半数を占めている。
だが能力は咲良田限定であり、街の外へ出ると、その能力を忘れてしまうのだ。
能力の大半はくだらないものだが、中には危険なものもあり、悪用を防ぐために、咲良田には管理局(能力者を管理し、問題を処理する)と呼ばれる組織が存在する。
記憶を保持する能力を持つ、高校生浅井ケイはクラスメイトの友人であり、リセットの能力を持つ春崎美空と共に、ある依頼を受ける。
それは死んだ猫を生き返らせるというものだった。
美空の能力は3日前に時を戻す能力だが、強力なかわりに、いくつかの使用条件があった。
その1つがケイがリセットを宣告する事。
リセット...そのたった一言で世界は3日分死ぬのだ...
リセットをした後の世界でやり直しを計る少年と少女...
だがリセットの後に彼らを待ち受けているものとは...
この作品は不思議な能力を持つ少年少女達のも物語だ。
「マクガフィンが盗まれる」という伝言から始まるストーリー。
このマクガフィンは作品において重要なものである。
能力が限定された咲良田のみという設定は後の作品にもみられるもの(階段島シリーズ)だと感じた。
便利な能力だが、リセットにより、他人の3日分の人生を壊してもしまう中で、少しでも何か助けになりたいと思うケイのやさしさと結末は、愁眉を開くような気分になるだろう。