ジョージ・R.R.+マーティン著 酒井 昭伸 訳
物語は数千年後の遠い未来。
地球はすでに崩壊しており、人類は多種多様な形で宇宙の惑星にて繁栄していた。
宇宙商人を名乗る身長2m半の巨体で、異様な風貌をしたハヴィランド・タフは謎の星である禍つ星を探す学者グループに雇われ、共に行動をすることになる。
旅の途中、彼らを待ち受けていたのは巨大な宇宙船、方舟号であった。
方舟号からの攻撃により、船は損傷し、生き残るためにその方舟号に乗り移ることになるが、そこからは互いが生き残るための壮絶な裏切りあいが繰り広げられていく。
この超巨大な方舟号は生物戦争用の船であり、数多くの生物種の胚がストックされていた。
船内はウィルスで汚染され、多くのクローン生物兵器が解放されてしまう。
人間も生物兵器も自分以外は全て敵...
果たしてタフはどのようにして生き残るのであろうか...
この作品は上記「禍つ星」の表題作他「パンと魚」「守護者」の3作を収めた連作短編集である。
「禍つ星」ではタフが方舟号を入手するに至った経緯が描かれている。
「禍つ星」では作者の特徴的な摸写である、登場人物の視点で描かれ、その視点が次々と切り替わり、展開していく物語の攻勢は読んでいて、目が離せなくなる。
その後、方舟号を手に入れ、環境エンジニアとして各地の問題を解決していくタフ。
「パンと魚」では人口過密問題を抱えた星に、船の修理のため赴くが、船を奪われそうになったり、「守護者」では海の怪物に苦しめられている星の人を助けようとするも、逆に脅迫される羽目になったりと苦難の連続である。
作中には多くの怪物や生物、美味しそうな料理が登場するが、これも作者の特徴の一つだろう。
そしてタフのそばにいつもいる猫の存在もいいアクセントとなっている。
自分が最も好きな作家の一人であり、この作品もとても面白い。
タフのキャラが最高である。オススメの作品だ。