安里 アサト(著)
電磁砲艦型との海での激戦。
その犠牲はとてつもなく大きかった。
多数の死者が海の藻屑となり、レギオンに取り込まれてしまった。
セオは片手を失い、瀕死状態に。
一命は取りとめるが、もう86として戦場に出る事は不可能となる。
シデンの隊の副長であるシャナも戦死してしまった。
シデンは怒り狂うように復讐を誓い、クレナは自らの失態により自責の念にさいなまれる。
大破しつつも逃してしまった電磁砲艦型の逃亡先は、極西の確率が最も高かった。
極西にあるのはノイリャナルセ聖教国。
その国は連合王国から狂国と警戒される謎の国家である。
起動打撃群、第一機甲グループの次なる派遣先は、そのノイリャナルセ聖教国に決まった。
それぞれが抱えた傷もまだ癒えぬまま、新たな戦場へ向かうことに。
その中でレーナとシンはようやく互いの想いを言葉にして伝える。
好きだと。
共に生きたいと。
レーナはシンに命じる。
必ず生きて私のもとに帰るようにと。
たどりついたノイリャナルセ聖教国の軍団とともにシンたちはレギオン撃破の作戦を開始する。
しかし聖教国の目的は他にあったのである。
86の運命は…
シリーズ第9弾。
まず前作で死亡したとばかり思い込んでいたセオが生きていたのが少し嬉しかった。
しかしセオはその後の心の葛藤や選択に苦しみ、クレナは精神的ダメージを負って、86の面々の苦しい心境が今作では多く描かれている。
また戦争中心の模写のため、全体的に重ための内容だが、その中でもシンとレーナの関係の発展や、クレナが自分の気持ちに区切りをつけたりと、未来に向けての明るさも時折ある。
86の少年少女がこの先どのような未来を切り開いていくのか。
今後も楽しみである。