オースン・スコット カード著 田中 一江訳
アシルは捕まった。だが移送中に何者かが護送車を襲撃し、アシルは解放されてしまう。
それはヘゲモンになったピーターの部下の仕業であった。
ピーターはアシルを部下にしようともくろんでいたのだ。
アシルを利用し、さらに足場を固めようとしたピーター。
ビーンとぺトラはその危険性にいち早く逃亡する。
そんな2人は互いに惹かれ合っていた。だが遺伝子操作で生まれたビーンは異変が起きていた。
体がどんどん大きくなり、将来的にその成長に耐え切れず、若くして死んでしまう運命だと知っていたビーンはぺトラとの関係を一歩踏み出せずにいた。
しかし、すべてを知ったうえでぺトラはビーンを愛し、受け入れたのだ。
そして2人は結婚することになる。
一方でアシルを開放してしまった事は過ちだったと気づいたピーターも両親と共にかつてバトルスクールがあった宇宙ステーションへと逃亡する。
だがピーターとビーンは共にただ逃げたわけではない。
それはアシルを止めるためにアシルとの戦いに終止符を打つためであった...
エンダーズ・シャドゥ、シャドゥ・オブ・ヘゲモンに続く、エンダーのゲーム姉妹編第3弾。
今作での見どころは、まずはアシルとの闘いであるが、それ以外にもビーンとぺトラが夫婦になり、その2人の関係であったり、かつてのバトルスクール生であったアーライ、ハン・ツー(ホットスープ)、ヴァーロミ、スリヤウォングといった面々が重要な役割を担って物語が進んでいく。
そして今までほとんど出てくる事のなかったエンダーとピーターの両親が大きな存在として物語にかかわってくる点等だ。
物語において戦争と宗教という現実でもある問題に大きく傾注しているが、今作では宗教面の話(イスラム教やキリスト教)が多く展開されているので、少々苦手な人もいるかもしれない。
今作はそれぞれの葛藤の中での1つの結末を描いた作品だろう。