オースン・スコットカード 著 田中 一江 (翻訳)
エンダーそれは終わらせる人。
人口制限法が設けられた近未来の地球は、昆虫型の異星生命体バガーと、長きにわたり戦いを繰り広げていた。
2度の侵略を防いだ人類は、来たる第3次攻撃に備えていた。
そして政府の特例として、禁断のサード 第3子として生まれたエンダー・ウィッギン。
幼少の頃から 姉のバレンタインと共に、モニターを続けられ、エンダーは6歳にしてバトルスクールに合格する。
バトルスクール、それは世界中から優れた子供を集めて、将来の艦隊指揮官兵士を育てるべく厳しい訓練を日々行う場所であった。
エンダーを待ち受けていたのは、教官による嫌がらせのような扱い。
そして周囲からのいじめと孤独で過酷な毎日であった。
だがエンダーは天才的な才覚により、次々と記録を打ち立てていく。
次第に彼の周りには、自然と友人と呼べるような存在ができていくのだが、またしても教官によってエンダーは孤立させられてしまう。
エンダーは疲弊していた。
自分の望んだものを手に入れても、奪われてしまい、彼はもう戦いたくなかった。
そしてある日唐突にゲームは終わりを迎える。
模擬演習として行なっていたゲーム、それはゲームなどではなく戦争であった。
真実を知ったエンダーは苦悩する。
自分のせいで多くの命が失われてしまったことに。 そんなエンダーが下した決断とは・・・。
戦うことしか許されなかった少年。
これはエンダー・ウィッギンという少年が成長していく物語。
エンダーが本当に欲しかったものは、勝利ではなく愛情や友情であったのだろう。
子供の不安定な心情、姉に対する感情や兄に対しての感情。友に対する思いが、所々で模写されている。
エンダーが強く成長していく姿に、心躍らされるような作品である。