音乃木坂図書室 司書
海未とことりによって救出されたツバサとあんじゅ、そして絵里の3人はスクールアイドル部の部室へと逃避していた。
構内には多くの人がいるので、しばらくは人の少ない部室棟の方でやり過ごし、落ち着くのを待つと言うわけだ。
屋上からはスクールアイドル部の部員も戻ってきており、一年生はツバサとあんじゅの存在に大はしゃぎである。
しばらくして、にこも自力で部室へとやってきた。
入って早々に、自分だけ取り残されたことに対して不満を言い放つが、全員がスルーする。
さすがである。一年生も含め、皆がにこの取り扱い方にはたけていた。
「だァー、無視するな!」にこの叫びを無視し、絵里が言う。
「それにしてもハラショーだったわ…まさか自分の母校でこんなに囲まれるなんて…」
「いや…絶対わざとばれるようにしてたでしょう」
真姫が突っ込む。すぐさまにこが言う。
「ねぇあんたたちさぁ、私のことを無視しないでくれるかな?」
「てゆうかさぁ、学校来るだけなんだから、わざわざ変装なんかしたら、余計目立つじゃないの」
真姫はにこに構わずスルーして絵里に話を続ける。
「それは…はい、すいませんでした…反省します…」
絵里は多少反省の姿を見せる。
そこへにこが割って入る。
「まぁそれはアイドルだから仕方ないっていうか、私みたいな人気者の宿命ってやつ?」
真姫はスルーする。同じく絵里も。
「もういいけど、絵里もしっかりしてよ。最近どこかのお馬鹿さんに似てきてるわよ」
「…それは嫌ね…気をつけます…」
「ねぇ、少し気になったんだけどさぁ、どっかのバカさんて誰のことかしらね…?」
「海未とことりもご苦労様。ごめんね余計な仕事増やしちゃって」
にこの言葉を無視し、真姫は海未とことりをねぎらう。
「大丈夫だよまきちゃん、気にしないで」
「そうですよ、悪いのはどっかのお馬鹿さんですからね」
ことりと海未の言葉ににこが反応する。
「さっきも言ったけど、そのお馬鹿さんて誰のことよ?」
「なぁーでもツバサたちも無事に合流できたしよかったね。ところで、海未とことりは救出に来てくれたけど、生徒会長の穂乃果は何してたのよ?」
絵里が言った。だれもにこの言葉には反応しない。
「りんちゃんと一緒に応援してたよ!」
さすがマイペースの2人である。
そしてついににこが沸騰する。
「きぃぃぃー、あんたたちいつまで無視してんのよ!」
「あ、ニコちゃんいたの?いらっしゃい」
まるで何事もなかったかのように、今気づいたかの反応を見せる真姫。
その真姫に続いてみんながにこにいらっしゃいと声をかける。
にこのいじられっぷりは今も健在なのだ。
「はぁー…もう毎度毎度…まぁいいわ。ところでさっきも言ったけど、どっかのおバカさんて誰のことよ!」
「そんなの1人しかいないじゃない」
「ちょっと真姫、それどういう意味よ!」
「どうもこうもそのままの意味よ!」
あえて名前は出さないがそれが誰を指すのか、当然にこも含めて全員がわかっていた。
そんな光景を見てA– RISEの2人は声を出して笑っている。
ツバサが言う。「ニコちゃんは相変わらず面白いよねー」
その言葉に反応するにこ。
にこはもともとA– RISEの大ファンなのだ。
「いやぁー、それほどでもないよ…それよりどうしてA– RISEの2人は来てるの?」
別に褒められたわけでもないのに嬉しそうなにこである。
「ライブ見に来たのよ。同級生の絵里がBiBiで出演するし、それに久しぶりにμ‘sのみんなに会いたかったし」
「私とツバサは今日は完全にオフだからね。普通に音乃木坂の学園祭を楽しみにきたの。」
ツバサとあんじゅが言った。さらにツバサが続ける。
「ところで絵里、今日μ‘sは出ないの?」
「今日は希が来れないからμ‘sは出ないわよ」
「ソッカー残念。μ‘sもみたかったなぁー」「
それは今度のうちの大学でのライブまでお預けね」
当然のようにプロアイドルのA– RISEの2人と話をするμ‘sのメンバーを見て、1年生は改めて自分たちの先輩は凄いと思っていた。
そしてまさか自分がこうして同じ場所にいられることに対し、感動に近い思いであった。
「高坂さんも元気そうで何より。μ‘sの復活嬉しいよ!」
「新しいユニットも始めたんでしょう?楽しみね」
ツバサとあんじゅは穂乃果に声をかける。
「Printempsって言うユニットです。楽しみにしてくださいね!」
そこににこが言う。
「花陽とことりとのユニットでしょ?すごい楽しみね」
「うん、にこちゃんに負けない位のかわいいユニットだよ」
「まぁ穂乃果ってば、かわいいなんて照れるじゃないの。ふふふ…」
にこは誉められるのが大好きである。
褒めれば何でも言うことを聞くと、真姫は部員全員ににこの取説を伝えていた。
「ニコちゃん、髪型変えたんだね。その髪もくるくるしててかわいいにゃー」
「あら、凛てばもう。今日はアイロンで巻いてきたのよ」
にこはμ‘s終わりし後はツインテールを卒業し、髪型を変えていたのだ。
「にこは会うたびに髪型が変わりますけど、ツインテール以外も似合ってて素敵ですよ」
「ンフフ…やめてよ海未。でもそれが私だからね」
立て続けに褒められ、上機嫌のにこである。
「にこちゃんの今日のお洋服もかわいいよねロリキュートな感じで萌え可愛くて、ハグしたいもん」
「さすがことりは見る目が違うね、ウフフ…」
「今日のメイクも最高にかわいいよ、にこちゃん」
「どうしたのよ花陽まで…ふふふ…実はマスカラ新しいやつなの」
皆に寄ってたかって褒められ、完全に有頂天のにこである。
「そんなかわいいにこちゃんにお願いなんだけど」
「何を真姫お願いって。言ってみなさいな」
「暑い中でリハやってたから喉かわいちゃって…みんなに飲み物買ってくれない?」
「もうしょうがないねぇ、買ってきてあげるから待ってなさい」
と言って自販機へにこは向かった。
後輩に完全に意のまま操られるにこであった。
「では、あと1時間もしないでライブ始まるので、それまでお二人はここで待っていてくれますか?」
と花陽はA– RISEの2人に告げる。
「私はこれから準備で講堂行くので…案内は海未ちゃんにお願いしていい?」
「えぇ、もちろん構いませんよ。私はμ‘sicforever以外出演は無いので任せてください」
そう花陽が言うと出番の遅い海未と凛、他数名を残し、皆講堂へと向かっていった。
飲み物を買いに行ったにこの事は皆、気にすることもなく…
続く