〜の続きを考えてみた

〜の続きEP-000プロローグ⑤


〜の続きEP-000プロローグ⑤(6)

司書の勝手な妄想

〜の続きEP-000プロローグ⑤
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ラブライブ! 1st Season

ラブライブ! 1st Season Collection DVDより

〜の続きEP-000プロローグ⑤(6)

「現役の私達より、にこの方が音乃木坂に来てるんじゃないですか」

「もうあのこってば...」

思わず顔を見合わせて笑う二人。

絵里はきっとにこは寂しいのだろうと思っていた。

人一倍アイドルに対し真摯であり、誰よりもアイドルを愛していた。

にこにとっての音乃木坂、スクールアイドル部、μ'sという存在は他の誰と比べても負けないほど、大切なものだったのだろう。

部員が一人になってもアイドル研究部を続け、μ's解散についても最後まで反対していたにこ。

心の底では、きっと今でもにこはμ'sを続けたかったのだろうな、と絵里は思っていた。

でもそれはにこに限らず、他のメンバーにも言えることかもしれない...

「でもこうして、卒業後も3年生が来てくれるのは嬉しいですよ。

今日も少し驚きましたけど、絵里に会えて嬉しいですし」

「ありがとう海未。でももう私達は3年生じゃないけどね。」と絵里が言うと、そうですねと海未は笑う。

分かってはいるが、つい今までのくせで先輩を3年生と呼んでしまうのだった。

「たまには私も音乃木坂に遊びに来てもいいかしら?」

「はいもちろんです。大歓迎ですよ」

先日まで同じ学校の生徒であり、同じ部活の仲間であり、同じμ'sのメンバーであった。

だが絵里にとって今は全て元という形になってしまう。

元音乃木坂生徒、元スクールアイドル部、元μ's... 絵里はもうここにはいない。

だけど一つだけ変わらないものがある。

それは9人の友情。 仲間としてのつながり、これはずっと変わることはないと絵里は思っていた。

「それより後15分ぐらいで入学式始まりますよ。

今日はありさの大事な入学式でしょう遅れてしまいますよ。」

「もうそんな時間?そろそろ体育館行かないとまずいわね。

でもその前に生徒会室だけ覗いて行ってもいい?」

「それは構いませんが、穂乃果とことりもも体育館だと思いますよ。」

「うん、久しぶりにあの部屋見たいだけだから...」

「わかりました。では行きましょう」

絵里は海未とともに生徒会室へと向かう。

だが音乃木坂の校舎は広い。

部室から普通に歩くと3分以上かかってしまうため、小走りの絵里。 途中、海未がずっと廊下は走ってはいけません、と叫んでいたが、時間がないので絵里は軽く聞き流していた。

そして生徒会室に到着。以前と何も変わらない場所を眺める絵里。

後から追いついた海未が言う。

「絵里、廊下を走っちゃダメです!絵里、聞いているのですか!?」

絵里の隣に立ち、海未は気づく。 きっと昔のことを思い出しているのだろうと。

この場所は絵里にとってかけがえのない大切な場所の一つであった。

1年生の頃から生徒会に入り、やがて生徒会長となり、毎日過ごしていた場所。

希とともに、ここで多くの時間を過ごした。

μ'sに加入した後も、そして生徒会を後輩の穂花たちに託した後も... 常に絵里にとっては、自分がいた場所それが生徒会室である。

絵里が口を開きつぶやく。 「1年前、私はここにいた。」

「この場所で生徒会長をやっていた。でもその時の私は、生徒会長と言う仮面をつけた臆病者だった。

周りからの物事を全て閉ざし自分の殻にこもっていた。

自分の弱さを隠すかのように... でもそんなある日私はμ'sに出会った。

穂乃果に出会ってみんなに出会った...」

絵里は1年前のことをμ'sに入る前のことを淡々と語り始めた。

絵里の口から出てくるのは後悔、そして感謝の言葉だった。

どうしてもっと早く素直になれなかったのだろうという後悔の念。

それはμ'sに対してというだけでなく、音乃木坂に入学してからという意味も含めてであろう。

そしてμ'sに対して自分を受け入れてくれた大切なみんなに対しての感謝の思い。

「私はμ'sのみんなに出会って本当に救われた。

みんなには心から感謝してる。 その気持ちは今でも、そしてこれからも一生変わることはない。 海未に出会えてよかった...本当にありがとね。」

絵里は改めてμ'sのみんなに、目の前にいる海未に感謝を伝えた。

「本当にみんなと出会えてよかった。 今の私がいるのはみんながいてくれたからだよ。」

突然の絵里の告白のような感謝の言葉に少し戸惑い、話を聞くだけで黙っていた海未であったが、絵里との距離を縮め、手をにぎり優しい笑顔で答えた。

「今更何言ってるんですか。私達は友達じゃないですか。

ずっとずっと...大切な友達ですよ。」

海未は絵里の手を引っ張、り自分の元へ引き寄せ、自分の腕を絵里の腰に回し優しく抱きしめた。

絵里はありがとうと呟き、同じく海未の背に腕を回し、抱きしめ返した。

海未の言葉に絵里の目元には熱いものがこみ上げていた。

「さてと、ほらもう時間がないですよ。

入学式が始まっちゃいます。急ぎましょう絵里。」

絵里がうんと頷くと、海未は絵里の手を取り体育館へ向かって走り出した

「あっ、海未、廊下を走っちゃダメよ危ないわ!」

「今更何言ってるのですか。大丈夫です。私が許可します」 二人は見つめ合って笑う。

絵里と海未は再び手を取り合って体育館へ向かった。

μ'sの活動は終わってしまったけれど、9人の仲が変わることはずっとないだろう。

これからも、この先もずっとずっと... μ'sの9人はきっと全員が全員に感謝しているであろう。

μ'sがなかったらこの9人が集まることはなかっただろう。

素直になれない子、引っ込み思案の子、自分に自信のない子、人付き合いが苦手な子、喋るのが苦手な子、本当は羨ましいと思っているのに中に入っていけないような子達... 例えばμ'sという存在がなかったら真姫と凛が仲良くなることはなかったかもしれない。絵里とにこが仲良くなることもなかったかもしれない。

1年生、2年生、3年生が、話すことはおろか出会うこともなかったかもしれない。

それだけμ'sの存在は大きいものであった。

そんな彼女たちが高坂穂乃果という一人の存在によって巡り合った奇跡....

これはそんな奇跡の物語である

EP-001へ続く

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