デニス・ルヘイン 著 加賀山 卓朗 訳
1926年ボストン。
ボストン市警、警視正の父を持つ色をジョー・グリンは無法者として、酒場やカジノで強盗を繰り返していた。
ある日のこと強盗に押し入ったカジノは、アルバートホワイトという敵対するギャングが経営するカジノだった。
それを知らずに入ったジョーは一人の女性とそこで出会う。
エマ・グールドと名乗る女性はアルバートの情婦だった。
ジョーはエマにひとめぼれしてしまう。
ジョーはエマと次第に関係を持つようになっていき、気づけば彼女に夢中になっていた。
彼女の信頼全て得たいと思い、二人で駆け落ちすることを画策していく。
しかし物事はそう上手くいかない。
ジョーのボスは殺され二人の関係はアルバートに知られてしまう。
そして仲間と銀行強盗をした際に、ジョーを追った警官3人が死んでしまい、警察殺しの罪を着せられてしまった。
父の助けもあったがジョーは刑務所へと送られてしまう。
そこでの日々は過酷で、毎日が生きるか死ぬかの地獄のような生活であった。
だがジョーはその日を乗り越え、獄中で出会ったギャングのボス、マソ・ペスカトーレの信頼を得る。
2年余りの日々を過ごし出所したジョーは、再び夜の世界でのし上がるためにマソの指示で南へと赴くのだった。
この作品は1920年代のアメリカ禁酒法により、ギャングが暗躍していた時代に、一人の若者が成り上がっていく姿を描いたものである。
自分をギャングではなく無法者と言い張るジョー。
それは二律背反と言ったところだろう。
自分の生き様に満足する一方で、自分の手で殺しはしたくないという、夜の世界で生きるながらも人として捨てられない部分を持ち合わせている。
それは正義である、警察官の父を見てきたからであり、また賄賂や脅迫が当たり前だった父を見ていたからなのだろう。
家族を愛し妻を愛し、夜の世界で生きていく。
幸せな生き様ではないかもしれない。
しかし男として己の生き方を貫き通すジョーはとても人間味溢れる男だろう。映画のみならず、是非とも原作であるこの作品も見て欲しい名作である