その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる EP-022 夏の景色を探して⑥(176)


ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-022 夏の景色を探して⑥(176)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-022 夏の景色を探して⑥(176)
image
ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

同日東京アキバにて。

時刻は15時半になろうかと言う頃、駅ビルにあるカフェには、にこの姿があった。

おしゃれでかわいい帽子に大きなサングラス、まるでどこかの芸能人かのような装いである。

しかもこの日はシルバーのウィングを装着しており、いつも以上に誰だかわからない姿だった。

そんなにこはスマホをいじりながら何かぶつぶつつぶやいていた。

「遅い…遅い…柚梨愛遅いわよ。…」

心の声が漏れている。

この日、にこは音乃木坂時代からの友人で短大の同級生、そしてBiBiの衣装を担当している加藤柚梨愛とアイドルのライブへ行くことになっていた。

会場は横浜ライブは18時半スタートのため、15時に待ち合わせをして会場へ向かうはずだったのだが…

30分を過ぎても柚梨愛はまだ来ておらず、イライラするにこだった。

そんな中、にこに声をかける人がいた。

それは花陽だった。

浴衣を着て化粧もしており、とてもかわいい花陽である。

そういえば、この日は江戸川花火大会であり、にこも穂乃果に誘われていたが、今日は3ヶ月前からチケットを入手し、楽しみにしていたアイドルのライブのために断っていたのだ。

そのアイドルは近年、人気急上昇中の桜色スペードアルファと言う4人組アイドルユニットであり、メンバーのうち2人がUTエックス高校卒業生でツバサの先輩(2学年上)なのだ。

花陽とたわいのない会話をしていると、柚梨愛がようやくの事やってきた。

待ち合わせからすでに45分遅刻であるが、マイペースな柚梨愛である。

遅いと文句を言うにこに対して笑顔でにこの頭を撫でていた。

そして花陽と別れ、2人はそのまま会場に向かうため電車へと乗り込んだ。

「もう、何度言ってもあれだけど、柚梨愛ほんとに遅いよ。会場横浜だから電車で1時間弱、駅から会場まで歩いて15分弱…て事は向こうに着くの17時半ごろじゃないのよ。物販間に合うかな…いや、それ以上に物販売り切れてないといいけど…」

基本的に物販は会場の外で行われるので、ライブのチケットが入手できなかった人も参加できるのだ。

人気アイドルになればなるほど、チケットの入手も難しく、物販のグッズも売り切れてしまう可能性は高い。

「ごめんね…今日はダメって言ったのに、バイトがランチの時間入れられちゃって。終わって家に帰ったら14時半で…それからいろいろ準備してたらこんな時間になっちゃった。物販は何とかなるんじゃない?最悪ネット販売もしてるし」

「まぁいいよ、ライブには間に合うし。でも現地会場でしか売ってないグッズもあるじゃん。売れ残っているといいなぁ…てゆうかさぁ、柚梨愛のバイト先ってなんでそんなに忙しいの?いつも忙しそうじゃん」

「うん、なんでだろう…人では足りてるはずなんだけど…にこ家もうちのバイト先生ないよ」

「そういえば前にも誘ってもらったっけ…なんてお店だっけ??」 

「猫耳メイド、ニャンニャンカフェだよ。にこやんなら大人気間違いなし。!」

「そ、そうでも私もバイト始めちゃったからね。今のところはとても働きやすくて気に入ってるんだ」

「確か古っぽいカフェだよね。?」 

「まぁ確かに古っぽいけど…融通も聞くし、店長も気さくな人でとても良いバイト先なんだよね」

「そっかぁー、にこやんのコスみたかったなぁ」

「あんたの目的は結局それなのね…それはそうと今日の柚梨愛の姿はすごいね。完全にガチ勢のアイドルオタクの姿だもん」。

「まぁねー、私は自他共に認めるガチ勢だからこれぐらいは普通だよ。ちなみにA– RISEとμ‘sバージョンもあるよ。μ'sはもう着る機会は無いかもしれないけど、…」

「そっか、さすが柚梨ね。そんなにグッズ買って、ライブ行きまくってたらお金やばいんじゃない?」 。

「そうなの。そこそこバイトで収入はあるけど、それ以外にもコスプレの衣装を作ったりとかの費用もあって、お金足りないよー」

「その気持ちわかる、オタクは大変だよねぇ」

「うん…もっとレイヤーとしての活動にも力を入れようかなぁって思ってるんだ。そうすればもう少し収入増えるし…あ、そうそう、今年も私コミケに出るから、にこやんも遊びに来てよ。何なら私と一緒にコスして出ちゃうっていうのはどう?」

「いや…コスはごめんって前も言ったでしょ。でもコミケには行くよ」

「うーん、なんでにこやんはそんなに子コスを嫌がるの?」

「えーっと、それは…」

「それは?」 

「えっと…私はあんたと違って良い体してないから…」。

「それは関係ないよ。貧乳でもコスはできるって」

「誰が貧乳よー!ちゃんとあるわよ!ととにかくコスはしないよ」

「うーん、残念…じゃあ次のBiBiの衣装はコスにしちゃうかな」

「何でやねん!」そんな会話をする2人。

柚梨愛はレイヤーとしても活動していて、だいぶ人気も出てきていた。

モデル並みのスタイル、ルックス、高身長で、レイヤーとしてもバイト先のメイドとしても人気なのである。

それに加えていつもBiBiの衣装を用意してくれて、BiBiにとって必要不可欠な存在であり、にこはそんな柚梨愛の存在に心から感謝していた。

また同じ短大に通っていて、学校の課題や授業の事などでも相談できる大切な友人なのである。

2人はオタクな会話を繰り広げながら横浜に到着した。

会場へ着く夜、2人はダッシュで物販へと向かった。

すでに会場が始まっており、会場周辺の人はまばらとなっているが、物販ではまだまだ人で賑わっていた。

そしてやはり、にこの予想通りいくつかのグッズは既に売り切れとなっていた。

多少柚梨愛に文句を言いつつも、残っているグッズを2人は大量購入。

にこもツアーTシャツにタオルマフラーをゲットし、準備完了。

柚梨愛とともにハイテンションで会場へと入っていった。

この夏休みの間、にこと柚梨愛は2人で多くのライブやフェスに参加していた。

高校を卒業して活動範囲が格段に広がったにこであった。

μ'sはもう終わってしまった。

その事実は変わらないし、誰より寂しいのもにこだった。

だが、μ‘sの仲間は今でも変わらない。

8人は今でもこれからもずっと大切な存在である。

今はBiBiも活動している。

そして柚梨愛と言う存在もいる。

にこにとって今まで以上に充実した日々であった。

こうして2人は、この日、最高に暑い、夏の1日を過ごしたのであった。

続く

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室