小野 不由美(著)
東と西にある2つの国。
その2国は決して交わる事のない国である。その2つの国で捨てられた2人の子供がいた。
1人は六太という。六太は卵果として、あちら側の世界へと流されたのである。
だが六太は麒麟であった。(一国に一人いる神獣であり、天意を受けて王を選ぶもの)六太は死にかけていた所に迎えが来て生き永らえる。
そしてもう一人、名は更夜という。
同じく捨てられ、死にかけていた時に、妖魔によって救われる。
2人は出会い、六太は名のない少年に更夜という名を与えた。
雁州国、この国は荒れ果てていた。前王により国は亡びる寸前であった。
そこへ麒麟の六太により王に選ばれた延王尚隆の元、国の復興へと動き出す。尚隆もまたあちら側の世界へ流された者であった。
戦国時代の小松水軍として村上水軍と戦っていたが、討ち取られ、死にそうなところを六太に救われたのであった。
こうして尚隆を王として復興を目指す雁であったが、ある日六太は拉致されてしまう。
それはかつて六太が名を与えた更夜によるもので、その主は斡由という元州州候の仕業であった。
自らの理想のため、謀反を起こす。
果たして雁州国は、騒乱の行方はどうなるのであろうか...
今作の時代背景は500年くらい前だろうか。
十二国の雁国を描いた物語である。
荒れた国を立て直すため王となる尚隆であるが、一見、適当な男でろくでもない馬鹿者みたいに描かれたいる。
だがその実、誰よりも国と国民の事を考えている王である。
作品中には難しい漢字も多いため、読みづらいとおおもう人もいるかもしれない。
だがそれ以上に内容が実に面白いので、苦になる事はおろか、どんどん読み進めてしまうだろう。
物語の設定も読んでいるうちに自然と理解できる。
雁の国家としての成り立ちを描いた今作も実に面白い作品である。