吉上亮 (著), サイコパス製作委員会 (著)
八尋と対峙した八王子の現場は惨劇であった。
征陸以外の公安局員が同士討ちにより死亡した。
それは八尋による計画的犯行だった。
唯一生き残った征陸も、犯罪係数が上昇し潜在犯となり、隔離施設に収監されてしまう。
そこで毎日のように八尋の幻覚幻聴に襲われていた。
隔離から80日後、征陸の元へ一人の女性が訪れる。
公安局から来たその女性は巌永といい、征陸を公安局への復帰、つまり執行官へのスカウトへと来たのである。
悩む征陸であるが、八尋の凶行を阻止するために、そして家族の元へ帰るために受け入れる。
再び八尋を追うために公安局員となり、征陸は八尋の足跡を辿っていく。
八尋が犯行に至るまでの経緯を知った征陸は、その考えを、思考をトレースする。
そして征陸は自分が八尋と同じだと気づく。 社会の不法を糾し、救われるべき者が救われる世界へ...
だが決定的にそのやり方は間違った方法なのだ。
征陸は八尋の凶行を止めるため、自身の手で八尋を裁くために親爺の元へと赴くのだった。
この2巻目でスピンオフ征陸編は完結である。
この作品がそのままアニメ原作へと続く形であり、様々な事が明かされている。
征陸の家族の事であったり、左腕を失った理由であったりと、謎であった部分が描かれている。
八尋は凶悪犯罪者となり果てたが、目指していたものは、形や過程は違えど、正義を標榜する者と同じものだった。
それはませに理想を掲げて戦争をする人間そのものの姿だろう。
結局、完璧な世界、人間などいないとう事なのだろう。
シビュラシステムの不完全性や秘密も明かされていて、原作が好きな人にはぜひ読んでほしい作品だ。
原作を知らなくても、プロットもよく、文章にもよませる力があり十分たのしめる作品だ。