その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに⑤(61)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに⑤(61)

音乃木坂図書室 司書

軽快なリズムを刻むサウンドが鳴り止むと同時に、会場の照明が落とされる。

その瞬間に会場は大きな歓声に包まれた。

いよいよA-RISEのファーストライブツアー初日の幕開けだ。

会場はライブスタートを告げる演出が始まり、ステージのスクリーンには Welcome to BiBi と言う文字が写し出される。

それとともに英語によるDJ風のアナウンスが響き渡り、会場のボルテージはさらに上がる。

スクリーンの文字が消えて、アナウンスが止まると同時に曲が流れだす。

そして赤、青、黄、白と色とりどりの照明がきらびやかにステージを彩る。

怪しい雰囲気を纏つつも、独特なリズムの曲とともにステージの下から徐々に姿を現すBiBiの3人。

後ろを向いたままポージングをした姿で、ステージに完全に姿を現すと同時に、3人にスポットライトが浴びせられる。

大歓声が沸き起こり、3人が同時に正面を振り返り踊りだす。

“どこにいるの、無理よ無理よ、どこにいたって無理よ“
獲物を狙うハンターのような姿を疾走感のあるメロディーにのせて歌い出す3人。

A-RISEのライブであるが、まるでBiBiのライブを見に来たかのような盛り上がりを見せる会場である。

〔Cutie Panther /詞〕
cutie panther 歌詞

黒い衣装を見にまとった3人がスポットライトに照らされて、よりいっそうかっこよく、そして美しく見える。

BiBiをスタートしてわずか3週間少々にもかかわらず、その曲の完成度、パフォーマンスのクオリティーの高さは圧巻であり、完全に客席を魅了していた。

ダンスの振り付け等もさることながら、やはり真姫の作曲センスには脱帽だろう。

この短期間でこれほどの曲を作ったのだ。

ミューズの時とはひと味もふた味も違う曲調であり、3人ユニットのBiBiにぴったりと会う曲だろう。

曲の合間に見られるにこと真姫の違いを小馬鹿にしたような振り付けであったり、一瞬キレのある絵里のパフォーマンスであったりと、すべての面において、見ているものを楽しませる最高の出来であった。

大歓声の中、1曲目を終えてそのまま2曲目。1曲目とはうってかわってしっとりとしたバラード調の曲を披露する。

1曲めが動であるなら、2曲目は静と言えるほど、曲調の違う曲である。

これこそ真姫の真骨頂と言えるだろう。

幼少の時からピアノとバイオリンをやっており、クラシックに精通している真姫。

バラード調の曲は真姫が作る曲の中でも、最も自分の能力を発揮できるものであった。

会場の後方でライブを見守る穂乃果たち5人も、BiBiのパフォーマンスに見惚れる位だった。

美しくもはかない、切ない雰囲気を伴った2曲めを終えてMCとなり、BiBi 3人のトークが始まる。

「みなさんはじめまして、BiBiです!」 絵里、にこ、真姫の3人が声を揃えていった。

会場は大歓声である。

それぞれの名前を呼ぶ声が上がる中で“ミューズ“と言う声も聞こえていた。

「こらこらこら、ミューズじゃないって。BiBiだってば」にこの突っ込みに会場からは笑いが起こる。

今日のA-RISEのライブもそうだが、スクールアイドルのライブは、特徴として女性と同世代の若い観客が多い。

そのためMCは非常に盛り上がるのである。

「もうみんなは宇宙№1アイドルの私の事はよく知っていると思うけど、一応自己紹介させてもらおっかなぁ。じゃぁそこの金髪の人!」

にこはノリノリでMCを進め、絵里を指名した。

「何よ金髪の人って…えっと私は綾瀬絵里です。
ツバサと同じ大学なんだけど、プロのアイドルをやりながら大学に通うツバサの姿に刺激されて私たちもBiBiを結成しました。

今回A-RISEのライブにゲスト出演させていただき感謝しています。

私たちはプロでは無いけどBiBiと言う名で、この3人で活動していくので、よろしくお願いします」

絵里が挨拶を終えると、会場からは大きな歓声と拍手がわき起こった。

そして再びにこが口を開く。

「堅苦しい挨拶ね。全然面白くないんですけど。もっとフランクに話しなさいよ!」

「うるさいわね。放っておいてくれる?」 絵里とにこの絡みに会場は笑に包まれる。

どうやらにこのMCのセンスは会場の心をとらえたようだ。

「もういいわ。はい、次そこの赤い子!」にこはびしっと指を真姫へ向ける。

「赤い子って雑!…まぁいいや…と言うことで、私は音乃木坂学院2年の西木野真姫です。

私たち3人はミューズとして一緒に活動してきたけど、BiBiはミューズとは違う魅力のあるユニットにしていきたいと思ってます。

あとBiBiとは別に音乃木坂でスクールアイドルとして新しいユニットも始めたので応援よろしくお願いします」

にことは違い絵里も真姫も丁寧な口調で挨拶をする。

やはりBiBiとしての初の舞台だ多少の緊張もあるのだろう。

真姫が挨拶を終えると会場は大きな歓声が起こるが、その中でも一段と大きな声で“真姫ちゃんがんばって“と言う声が響いた。

真姫のままである。「まま…恥ずかしいからやめて…」

すると会場からは呼応するかのように、“真姫ちゃんがんばって“と、たくさんの声が上がっていた。

「もう…イミワカンナイ!」会場もステージもとても和やかな雰囲気である。

「はい、真姫ちゃんがんばってね。えっとねー、この子はまだ子供だから、みんな温かく見守ってね」

「誰が子供よ。子供はにこちゃんでしょ!」

「はぁー…やれやれ…お子様はすぐムキになるから嫌よね」

「何言ってんのよ。中身も見た目も子供のにこちゃんに言われたくないんですけど」

ライブのMCと言うのを忘れたかのように、いつも通りの言い争いを始める2人。

どこだろうと変わらない2人だ。後にこの2人のやりとりはにこ真姫劇場として大人気を博すことになるが、今日は限られた時間でのライブなので絵里が割って入った。

「はいはい、いいかげんにしなさい。ほら、そこの小さい人、とっとと挨拶しなさいよ」

「小さいって何よ、失礼ね!まぁでもそうね、私の版ね。はい、みんなラブリーキュートなにこにーだよ。にっこにっこにー、あなたのハートにラブにこっ。うふっ」

すぐさま真姫が突っ込む。

「うふって...キモチワルッ…」

「うるさいわよ、黙ってなさいって!ごめんねみんな、邪魔がはいっちゃったね。

にこには髪型変えちゃったけど、いつまでもみんなのにこにーだよ。

これからもよろしくにこ!」ノリノリのにこを中心にしたMCに会場は沸いている。

だが明らかに話が長引いてしまっていた。

にこはチラット時間を確認すると再び会場へ向けて話を始めた。

続く

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