藤井太洋 (著)
2018年。
核燃料の濃縮施設を探すため、アメリカ海兵隊とIAEAの館野、CIAのナズらは集落の地下へと来ていた。
そこで爆弾テロが発生し、首謀者はイブラヒムと言う男だった。
彼は核を作る材料を揃えていたのだ。
それから2年後、2020年3月6日、イブラヒムは核の材料を持ち込み、東京へと降り立つ。
彼を案内した協力者は但馬と言う女性だった。
“ワンモアヌーク“…
彼女の目的は東京で核テロを行う事だった。
だが但馬の本当の目的はイブラヒムと違った。
単純な核テロをもくろむイブラヒムに対し、但馬は核テロを起こし、核の恐怖を植え付ける。
その上で被害者は出さずに、核兵器廃絶を訴えることだった。
その裏には福島第一原発により、生活を奪われた友人の存在があったのだ。
2人は早々に決裂する。
そしてテロの予告動画が流される。
テロを阻止するため警視庁の刑事は、但馬を追い、2年前のシリアで生き延びた館野らはテロリストを追う。
2人のテロリストの行方は…
この作品はSFでありながら、東日本大震災と福島原発事故を踏まえたリアリズムサスペンスでもある。
3月6日から11日までの5日間、但馬、館野、イブラヒム、刑事の早瀬らの視点によって描かれている。
忘れ去られつつある原発事故を如実に物語っており、色々と考えさせられる内容だろう。
目的は違うが核テロを起こそうとしている2人のテロリストを追うサスペンス小説でもあり、序盤から終盤まで読む手が止まらない作品である。