その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから③(72)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから③(72)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから③(72)
image
ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

それからすぐ後にことりの母と入れ替わるようなタイミングでことりは帰宅した。

「いらっしゃい穂乃果ちゃん。突然どうしたの?帰ってきたら穂乃果ちゃんが来てるって言われて驚いたよ。連絡してくれればケーキでも買ってきたんだけどな」

「ごめんねことりちゃん、アポなしできちゃって」

「うん大丈夫だよ」

通信機器が当然のように普及した現代において、確かにアポなしと言うのはあまり見られない光景だろう。

だが幼少の頃から互いに行き来している中であり、特に2人とも気に留めることもない。

そんな穂乃果にことりは笑顔を返す。

いつ見てもことりの笑顔は天使だなぁと穂乃果は思う。

その笑顔で見つめられたらきっと男女問わずにイチコロだろう。

”実はね”と言って穂乃果は愛乃とのことを話し始めた。

数分後…
「へぇー、そうなんだ。そんな事情があったなんて知らなかったよ。三森さんがユニットに入っていないのは知っていたけど…」

ことりも愛乃の事には気づいていた。

みんながユニットを組んで活動しているのに、1人だけユニットに入っていないと言うのは何か理由があるのではと思っていたのである。

「そこでね、私は愛乃ちゃんにアイドルを一緒にやろうって誘ったんだ。私もね、BiBiを見てから、新しいユニットもやりたいと思ったの。BiBiみたいにもっとたくさん歌いたいって思ったって話は前にことりちゃんにしたでしょう。だからね愛乃ちゃんに作曲をお願いして、一緒にユニットをやることにしたんだ。もちろん新しいユニットとして活動したいのと同時に、愛乃ちゃんにもスクールアイドル部の一員として活動してもらいたかったから…だからそれでね、ことりちゃんも私と一緒に新しいユニットをやってもらえないかなぁって」

穂乃果が今日、ことりの家までやってきた理由、それは以前にも言っていたことではあるが、改めて直接自分の口から伝えたいと思ったからである。

ゴールデンウィークの合宿の時に穂乃果は自分の思いをことりに伝えてはいたけれど、愛乃の件もあって、こうしてことりの家まで訪れたのであった。

ことりは優しい微笑みを浮かべる。

「うん、もちろんだよ。合宿の時にも言ったでしょ。私は穂乃果ちゃんの行く道に一緒について行くって。私もBiBiのライブ見てからもっとたくさん歌いたいなぁって思ったんだ。だから喜んでやるよ!よろしくね」

穂乃果の気持ちに応えるようにことりは承諾した。

BiBiのライブを見て触発されていたのは穂乃果だけじゃない。

ことりもまた同じような思いを抱いていたのだ。

自分たちの仲間がBiBiとしてあれだけの活躍をしていたら、元μ‘sの同じメンバーとして心を揺さぶられないわけがないだろう。

穂乃果は大喜びでことりに抱きついた。

「ことりちゃんありがとー!」

「ほ、穂乃果ちゃん… 苦しいよー…」

よほど嬉しいのだろう、穂乃果の力強い抱擁に苦しそうな声を出すことりだが、その表情は笑顔で溢れていた。

これでメンバーは2人で、作曲剣ピアノ奏者の愛乃を加えて3人である。

ことりが訪ねる。「ほのかちゃん、他にメンバーはどうするの?私たちだけ?」

「後は海未ちゃんを誘うと思ってるよ。私たちに海未ちゃんの3人、それに作曲担当兼ピアノ奏者として愛乃ちゃんで全員で4人かな」

本当は海未にも直接会って自分の口から誘いたい穂乃果であったが、そこは穂乃果の性格である。

ことりにオーケーをもらったことにより、気持ちが先走ってしまい、我慢できずにスマホを取り出す。

「よし、そうとなれば海未ちゃんにすぐ聞いてみよう!」

すぐさま穂乃果は海未へと電話をかける。

何回かのコール音の後に海未が電話に出る。

「はい、園田海未でございます」

海未の家柄もあるのだろうか、いつも海未は電話に出る時はフルネームで名乗るのである。

「あー、海未ちゃん今何してるの?」

「今日は弓道部の練習試合で先ほど帰宅したところですがどうしたのですか穂乃果?」 

「あー、何か忙しかったかな、ごめんね。実はねん…」

穂乃果は今までの経緯を事細かに海未へと説明した。

「そこでね、海未ちゃんも一緒に新しいユニットやってくれないかなと思って」

「なるほどそういうことですか…分りました。少々時間をいただけますか?近日中に必ず返事をしますので」

「うん、わかった。じゃあまた明日学校でね」

そう言って通話を終えた穂乃果にことりはたずねる。

「海未ちゃんは何だって?」

「近日中に返事するから少し時間を頂戴って」

特に考えることもなく答えた穂乃果であったが、これを聞いたことりはこの時点で海未の返事は大体予想できていた。

海未の現状を鑑みると…だがそれを今自分が考えてもしょうがない。

海未もきっとよく考えて返事をするだろうから。

と言う物思いに浸っていたことりに穂乃果が声をかける。

「ねーことりちゃん。あの写真懐かしいねぇ」

ほのかはことりが帰ってくる前に観てた、小学校に上がる前のことりと海未の3人で写っている写真を指差した。

ことりがいつも見ていたと言う写真である。

「ああ、あれね。いつの写真だか覚えてる穂乃果ちゃん?」

「もちろん覚えてるよ。私も同じ写真持ってるもん。近所の神社のお祭りに行った時のだよね」

「よく覚えてたね穂乃果ちゃん。あの時、海未ちゃんが近くにいた男の子に泣かされちゃって、それを見て私も泣いちゃって…助けに来た穂乃果ちゃんが喧嘩して泣いちゃって… 3人で大泣きしたんだよね。懐かしいなぁ」

「ことりちゃんすご…私はそこまで覚えてないよー」

「それでその後、穂乃果ちゃんのお母さんがわたあめ買ってくれて…その後に撮った写真だよ。もう10年以上前の事だけど、私は今でも覚えてる。大切な思い出だよ」

3人は本当に小さい頃からの友達で幼なじみである。

小学校に入る前から、物心ついたときにはもうそばにいた存在であり、今に至るまで、ずっと一緒だった。

それぞれの人生において、互いがいない時間はなかった。

それこそ3姉妹のように育ってきた。

だからこそ昨年、穂乃果とことりが初めて喧嘩をした時は、その後互いにどうしたらいいかわからなかったのだ。

きっとこの先、3人が離れてしまう日も来るだろう。

だが、いつまでもずっと、昔から変わらない仲の良い3人でいるだろう。

懐かしい話にふける2人。

日が暮れるまで、ことりの部屋からは楽しそうな笑い声が聞こえていた。

続く

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室