佐野 徹夜 (著)
中高一環の私立高校に通う高校1年生の岡田卓也。
彼はかつて交通事故により姉をなくしていた。
そのせいか、何に対しても投げやりで、ただ生きているだけだった。
彼のクラスには1つの空席がある。その席は渡瀬升まみずと言う生徒の席であるが、彼女のことを知っているクラスメイトはほとんどいない。
まみずは中学1年の時から病気のため、学校に来ていないのだ。
その病は発光病と言う不治の病だった。
10代から20代前半で発症し、致死率は極めて高く、夜に月の光に照らされると体が発光するように淡い光を放つものだった。
まみずにクラスメイトからの寄せ書きをもっていくことになり、昨夜はまみずの入院する病院へと向かう。
2人は初対面であったが、まみずはいきなり卓也を名前で読んだりと親しげに接してくる。
少々戸惑う卓也に対し、また遊びに来るようまみずはお願いする。
二度と来るつもりは卓也にはなかった。
でも気付けば卓也は、まみずの病院へと通うようになっていて、少しずつ気持ちが変わっていく。
だがまみずの余命はゼロだった。
もういつ死んでもおかしくない。
まみずは死ぬまでにやりたいことリストを作成していて、卓也はその手伝いをすることになる。
余命わずかの少女と、心に傷を負っている少年の短い時間が動き出すーーー
この作品は切なすぎて泣けます。
難病を抱えた少女と、姉をなくした少年のわずかな時間のラブストーリー。
余命わずかで、もう終わりが迫る中での2人の恋愛、互いに好きだと言ったときにはもう残された時間は無い。
でも重いテーマの中にも明るさもあり、しかし結末はやはり切なくて…
著者あとがきも泣ける。
自分も似た経験があるのでの尚のこと。
世知辛い現代社会において、生きることや死ぬことの意味を考えさせられる作品であると思う。