用語解説必読

叛逆航路


叛逆航路

アン・レッキー 著  赤尾 秀子訳

image
アン・レッキー 著

赤尾 秀子

人類世界における最大の星間勢力である専制国家のラドチは宇宙を次々と併呑(占領・統治)し、勢力を拡大していた。

それは3000年にも及ぶものだった。

アナンダ・ミアナーイがラドチ圏の絶対的支配者として君臨していた。

ラドチの主要戦力は宇宙艦隊と艦のAI人格を人間の肉体に転写し、共有する生体兵器、属体(アンシラリー)であった。

長きにわたって艦のAIであったブレクは、己の人格を4000人の人体に転写したアンシラリーを操って、惑星の侵略を行っていた。

だが最後の任務中に陰謀によって裏切られてしまい、全てを失ってしまう。

ただ一人のアンシラリーとして生き延びたブレクは復讐を誓い、極寒の辺境惑星へと降り立った。

そこで出会ったのはかつての上官であるセイヴァーデンであった。

極寒の中、薬物中毒で全裸で倒れていた元上官をなぜだかブレクは財を投げ打ってまで救助してしまう。

だが目を覚ましたセイヴァーデンはブレクのことを全く覚えていなかったのだ。

しかし、この出会いは、帝国の存亡にかかわる、戦いの始まりであった...

この作品はヒューゴ賞、ネビュラ賞、ローカス賞等々、英米にて7巻を達成した作品である。

遠未来、現在とはだいぶ異なる文化をもつ人類が宇宙に広がっている部隊において、AIだった元兵士を中心とした壮大な冒険を描いたSFである。

しかし最初はストーリーの意味が全然分からないかもしれない。

何故ならば、それはまず、現在におけるブレクと過去におけるブレクは時間軸が1000年以上も違う中で、複数の個体により物語が展開されていること、またラドチには性の区別がなく、分隊名、分軀番号での呼び方になっている等が上げられる。

登場する人物等が頭の中でイメージしづらくあいまいな感じになってしまう。

なので、巻末に用語解説もあるので、それを確認しつつ、今がどこで何が起きているのかを考えながら読むのが良いだろう。

一回ではよく理解できないかもしれないが、内容が理解できたら一気に引き込まれる作品である。