音乃木坂図書室 司書
「ねぇ、この前絵里ちゃんが言ってたけど、絵里ちゃん達は大学でツバサさんと同級生って言ってたよね。
A-RISEは大学に通いながらプロとして活動してるってすごいね。
それで思ったんだけど絵里ちゃんたちに聞いたら、もしかしたらゲストがA-RISEかどうかわかるんじゃない?」
穂乃果の発言に対し、花陽が右手人差し指を立てて左右に振る。
「チッチッチ…甘いですね穂乃果ちゃん。すでに絵里ちゃんには私が確認済みなのです。
部長としての小泉花陽を舐めてもらっても困りますね。それでその答えは…」
一同が花陽を見つめ、その先の言葉を待っている。
まるで某テレビ番組かのように答えをじらす花陽。
「ファイナルアンサー…?」 アイドルモードの花陽が暴走する。
「早く言いなさいよ!」 真姫が既に切れていた。
「絵里ちゃんも知らないって、残念でした」
花陽の答えに期待した一同はがっかりする。
いや、と言うより知らないなら焦らすすなよと言いたそうな部員が真姫を始め数人いた。
そこでことりが口を挟む。
「私昨日希ちゃんと電話したんだけど、A-RISEがスペシャルゲストでラブライブ出るらしいって言っててたよ。
翼さんから直接聞いたって言っててたから間違いない情報だと思うよ」
その瞬間、部室は大きな声が上がる。
その中でも一番の反応を示したのは花陽であった。
「何ですって!ほら、やっぱりA-RISEでしたね。あ…でも…」
すごいテンションが上がったと思った途端、花陽のテンションはみるみるうちに下がっていく。
そこへ穂乃果が追い打ちをかける。
「部長としての小泉さんの情報力も、ことりちゃんに負けちゃったね。ねー花陽ちゃん!」
「…いや、それはですね…」
まさに気にしてたことをつかれて、言葉に詰まる花陽。
「花陽でも知らない事はあるわよね。まぁ仕方ないわね」
「うんうん…真姫ちゃんまで…」
「しっかりしてください部長」 海未の一言がトドメであった。
花陽が爆発する。 「うん、プラチナムカツクー!ふぬーっ!」
手足をばたつかせて起こる花陽。
皆にいじられる率はμ'sの中で、にこ、穂乃果に続いて多い花陽であった。
「プラ...チナ...?何言ってんのよ花陽...」
真姫は花陽が何を言ってるのか理解できなかった。
しかし、ことりがフォローする。
「落ち着いて花陽ちゃん。そんな時もあるよ、気にしないで。でも危ないから千枚通しは使わないでね」
「ありがとう…て?ことりちゃん今のわかったの?」
「うん、月火ちゃん。白金ディスコだね」
「うわー、ことりちゃん!」 どうやらこの2人は通じ合ったらしい。
「何言ってんのよあんたたち…」
しかし真姫を始め、周囲は何を言っているのか理解できたものはいなかった。
そこに凛が言う。 ちなみに凛はにこや穂乃果に対していじりまくるのだが、花陽をいじる事は決してない。
「でもさぁ、A-RISEがゲストで出るの楽しみだよね。かよちんの予想が大当たり。さすがかよちんにゃ」
まるで人ごとかのようにA-RISEの出場を楽しみと言う凛。
それと同時にしっかりと花陽のフォローも忘れないところは、幼なじみの仲の良い2人ならではだろう。
「隣、何言ってるのですか。楽しみじゃ無いですよ、私たちも出場目指すのですよ」
海未がそう言うとすぐに花陽も続く。
「そうだよ凛ちゃん。私たちも出なきゃ意味ないよ」
「当然ね、狙うは優勝のみよ」真姫が言った。
「アキバドームで歌って踊れるなんてワクワクするね」 ことりも続く。
そして穂乃果も。 「よーしみんな、優勝目指して頑張ろう!えっと…まだユニット名は決まってないから…レッツゴー私たちだよ!」
さっきまで花陽の話を全く聞いてなかったり、かと思えばイジってたりしていたのが嘘のように、6人は纏りを見せる。
そんな元μ'sの6人を見る新入部員は、改めてこの6人の存在は凄いと思っていた。
それがさも当然かのように優勝を目指すと宣言する先輩たちを見て、自分たちも頑張ろうと言う強い決意をするのであった。
そして最後に締めるように花陽は言う。
「最後に1つ我が音乃木坂学院スクールアイドル部OGであり永遠の宇宙ナンバーワンアイドルである矢澤にこ先生からのメッセージです。
”スクールアイドルは年々人気も出てきて、レベルも上がってきているけど、音乃木坂のあんたたちなら大丈夫、がんばりなさいよ!“
と言う大変ありがたいお言葉をいただきました。先輩たちに負けないようにみんな頑張ろうね!」
まるで偉大な人物からの言葉の下のように花陽に対し、すぐさままきがツッコミを入れる。
「永遠の宇宙ナンバーワンアイドルとかイミワカンナイい! というか矢澤にこ先生って何よ花陽」
「それはですね、アイドルのことに関してはにこちゃんはすでに師範代クラスなのです。
あの領域に達するには私もまだまだ修行が足りません!」
「そう…確かにアイドルに関してはにこちゃんや花陽の右に出る人はいないもんね」
「私はまだまだひよっこです。にこ師匠にはかないませんよ!」
「うん、うん…そうね…」 うなずく真姫。
先生から師範代そして首相笑ランクアップしたにこであった。
しかし実際ににこのアイドルの知識は相当であり、花陽も尊敬する位なのである。
そこで穂乃果がつぶやく。
「ねぇねぇ、ところで私たちの新しいユニット名はどうするの?」
「すっかり忘れてたねー、あはははは」 笑うことり。
「そうにゃー、ユニット名ないなぁ、どうするにゃ?」 凛が言った。
「そうよ、どうするのよ!?これからエントリーするって言うのに、まだユニット名決めてないなんて、今まで一体何してたのよ。ねぇ、どうするのよ花陽!」
真姫の言う通り、今まで何をしていたんだろうと言うのもわかるが、当の本人もまた然りである。
真姫は花陽に責任を押し付けるように言った。
「そんなこと私に言われても…だって3年生は生徒会の仕事とか言って、来ない日も多いし…ねえみちゃん!」
花陽は3年生へと責任を転嫁する。
「それは…私に押し付けないでくださいよ、しょうがないじゃありませんか!
穂乃果が仕事をためるからいけないのです。どうするのですか穂乃果!」
海未は穂乃果に責任を擦り付ける。
「だってしょうがないじゃん!生徒会の仕事多すぎるんだもん!生徒の数少ないくせにさ。そんなときのためにスクールアイドル部部長がいるんじゃん。ねぇ花陽ちゃん!」
穂乃果は花陽に責任を擦り付ける。
「私だって部長として、部の今後を考えたりするので大変だったんだもん。そんなときのために副部長がいるんだよね、真姫ちゃん!」
花陽は真姫に責任をかぶせる。
「そんな…私だって色々と忙しいのよ!こんな時こそリーダーの出番でしょうが。ねぇ凛!」
真姫は半ば無理やり凛に責任を着せる。
「なんで凛のせいになるにゃ!」 凛はわめき散らす。
そんな5人を静観していたことりが言う。
「はいはい、みんなそこまでだよ。誰のせいでもないでしょ。みんなのせいだよ、みんなのせい。私のせいじゃないけど、もう言い争いは終わりだよね」
やはりことりは天使のような存在である。
言い争う5人を穏やかに宥め、落ち着かせる。
そしてしれっと自分のせいではないことを主張する。
ことりに言われたら、もう誰ももう誰も逆らうことなど不可能だ。
それにしてもだ、この6人は言い争ったり、いじりあったり、かと思えばすぐに団結したりと、本当に仲が良くて結束力があって、見ていて微笑ましくなる位である。
1年生はそんな先輩の姿を見て、本当に凄いと実感していた。
そんな中、1本の校内放送が流れた。
続く