音乃木坂図書室 司書
ラブライブの続きを勝手に考えてみる
7月31日、第3回ラブライブアキバドーム大会にてファイナルライブを行ったμ‘s。
当初の予定通り、このライブを持って、本当にμ‘sとしての活動に終止符を打った9人。
8月になり、それぞれが夏休みの毎日を充実した日々を送っていた。
8月の某日のこと。
この日、絵里と希は成田空港にいた。
μ's OGの2人は、大学の友人であるA– RISEのツバサと3人で、この日から4泊5日で北海道旅行に行くことになっていた。
だが、成田にツバサの姿は無い。
A– RISEとして大人気アイドルのツバサは、前日に大阪でのライブがあったため、関西国際空港から直接北海道へ向かう。
つまり現地集合ということになっていた。
そして絵里と希の2人は東京に住んでいるのに、なぜ羽田ではなく、千葉の成田にいるかと言うと…単純に飛行機のチケットを入手するのが遅かったので、羽田発のチケットが取れなかっただけである。
旅行の計画を立てるのに夢中で、うっかりチケットのことを忘れていた2人。
ツバサに至っては前日に大阪でのライブがあるのを忘れていた位であった。
それはさておき、絵里と希は搭乗手続きを終えて、ロビーで待機していた。
「飛行機での旅行って修学旅行以来かな?楽しみやねー」
「そうねぇ…て希、3月にみんなでニューヨーク行ったじゃないの」
「あぁそうやった。忘れとった、ニューヨーク以来やね」
「もう忘れないでよ。でも確かに、あれは旅行と言うよりは、スクールアイドルのPRのためって言うビジネス面が強かった気もするけどね」
「そうやね。2泊だけやったけど、ほんま楽しかったよ」
「いつかまたみんなで海外旅行行きたいねー」
「うん、またいつか9人で行こうね」
搭乗手続きを済ませても、飛行機に乗って出発するまでは、割と時間がかかったりするが、この待ち時間も旅行の醍醐味の1つかもしれない。
2人は楽しく会話に耽けていた。
「そういえばさー、さっきツバサからメール来てたけど、私たちより着くのが1時間以上遅くなるみたいだねぇ」
「まぁしょうがないよね。そしたら新千歳で遊んで待ってればいいし。てゆうか、前日まで関西地方でライブツアーがあるのを忘れているとか、ツバサはマジ半端ないやんか」
「確かにツバサはすごいわね…これが私たちμ‘sだったら、海未に怒られて、真姫に呆れられ、にこが調子乗って…考えただけでゾクッとした…」
「うち、今にこっちが偉そうにご高説を垂れる姿が見えた。今度ワシワシの刑やね」
「(それは少しかわいそうな気が…)まぁ、まぁとりあえず、ツバサを待ってる間だけど、私、新千歳空港のここに行きたいんだよね」
そう言って北海道のガイドブックを手に絵里が笑顔を見せる。
「はどうせチョコやろう?」
「どうせって何よ。違うわよ。この店よ」
「あ、この店知ってる。前にテレビで特集されてたお店だね。パフェがすごい美味しくて有名なんだっけ?」
「そうなのよね!ここのチョコレートチーズパフェが絶品らしくて…早く行きたい!」
「(やっぱチョコやんか…)そうだね、じゃあ着いたら行こうか」
「うん、!」
大好物のチョコ(チョコレートパフェ)に、既にテンションの高い絵里だった。
そうこうしているうちに、2人が搭乗する便がアナウンスされ、2人は飛行機へと乗り込んだ。
ちなみに、この日も2人は軽い変装をしている。
元μ‘s、そして絵里はBiBiとして人気者の2人、ばれるとすぐ騒ぎになってしまうのだ。
そしてそれから約2時間後…新千歳空港へと到着した2人。
北海道へ来たのは、これが初めてと言う絵里は、まるで修学旅行生かのように、周囲をキョロキョロ見回しては歓喜の声を上げていた。
「うわー、ねー、希!見て、これすごいよ!あー、何あれ?ハラショー…えー、あそこの海鮮丼屋さやばっ、あぁ!あそこのチョコ!買ってくるから待ってて!」
絵里のとりとめのない行動に振り回されつつも、希は楽しそうについていく。
希は昔住んでいたことがあるとは言え、久しぶりの北海道である。
絵里と同様テンションは高い。
空港は今や飛行機に乗る以外の目的で訪れる人も多い。
様々な店舗があり、ショッピング目的や、ご当地グルメが味わえる店も多く、いるだけで楽しくなる位だ。
中でも新千歳はさすがは北海道と言える。
新鮮な海鮮を味わえる店やお土産を取り扱っていて、この空港が1つの観光スポットと言っても良い位である。
2人は空港を堪能するようにめぐり、ようやく絵里お目当ての店へとたどり着く。
店内から甘い香りが漂っており、その匂いに導かれるように入店した2人だった。
ここはスイーツが有名なカフェであり、北海道の名産品をたっぷりと使用したケーキやパフェが大人気の店である。
甘いもの、特にチョコが好きすぎる絵里は、子供のように喜んで注文する。
絵里がチョコレートチーズパフェ、希が夕張メロンパフェを注文。
しばらくしてパフェが運ばれてくる。
「うわー、すごい…何このパフェ…ハラショー」
思わずつぶやいた絵里に希が言う。「絵里、めっちゃ楽しそうやね」
「うん、めっちゃ楽しい!北海道最高!見てよ。このパフェ。たくさんのチョコに濃厚なチーズのコラボ…まさにパフェの宝石箱!希の夕張メロンパフェとかやばくない?超高級パフェじゃん。ハラショー…」、
楽しそうな絵里を見て、希も笑顔を浮かべる。
「絵里のパフェ、ひと口ちょうだい」
「いいわよ、はい。希のもちょうだい…うわっ、うわっ…」
「フォーアヴェ(2人が行きつけのカフェ、The Fourth Avenue Café)どっちがおいしい?」
「フォーアヴェはなじみの味だけど、こっちのは贅沢の極みだから比べられないよ。どっちもおいしい。あー、そういえば明日は江戸川花火大会だね。
穂乃果に誘われたけど、旅行とかぶっちゃって断っちゃったから、夏休み中にみんなで花火大会とか、お祭りに行きたいねー」
「そうやね。夏休みの間に、まだたくさん花火大会やお祭りはあるから、みんなで行けたらいいね。でもまぁ今は北海道旅行を楽しもうよ」
「安心してください。さっきからずっと楽しんでますから!」
そう言ってパフェをほおばる絵里であった。
希はそんな絵里の姿を見ているのが本当に楽しかった。
誰よりも絵里のことが好きで、大切な親友の絵里。
昔を知ってるからこそ、一緒にそばにいて笑っている。
絵里の姿が希は何より嬉しかったのだ。
と、そのタイミングでツバサから2人にメールが届く。