ジョージ・R・R・マーティン 著 岡部 宏之 訳
物語は七王国と呼ばれる国、中世ヨーロッパを連想させるような世界が舞台となっている。
元々は7つの王国であったが、 現在では統一されて、一つの王国 七王国となっていた。
その王国の玉座を巡って大きな抗争が始まろうとしていた。
様々な陰謀や裏切り、思惑が渦巻く中で物語は進んでいく。
ストーリーは主にスターク家と、バラシオン家、そしてラニスター家の巨大勢力による抗争が描かれている。
物語は章ごとに、スターク家当主で王の手であるエダード・スターク、その奥方のレディー・キャトリン、その二人の息子のブラン、 娘のサンサとアリア、 エドワード公の私生児ジョン。
ラニスター家の次男であり、発育不全で小人のインプと呼ばれるティリオン。
そして今回の物語の本筋には絡んでこないが、かつて王家でありスターク公らによって滅ぼされた、ターガリエン家の末娘デナーリスらによった視点から描かれている。
誰目線から物語を重視するかによって、話の楽しみ方も変わってくるであろう。
また登場人物はかなり多いが、それぞれが個性的であり、特にスターク家の5人の兄妹姉妹は、個性に溢れており、物語を進む上で重要な人物となってくる。
物語は冒頭北部の壁と呼ばれる場所からスタートする。
この壁はナイツウォッチと呼ばれる組織が、常に警備を続けていた。
この壁の向こう側には、怪物の世界が広がっているのだ。
そこには、狼ダイアウルフや、異形(ジ・アザー)等々、人の理解の範疇を超えた存在がいるのであった。
また死者が生き返るという奇妙な事件も起こっていた。そして七王国は何年も続いた長い夏が終わり、厳しい冬がやってこようとしていた。
今作には直接関係はないものの、玉座を巡り争う以外にも、こうした世界を脅かす要素なども多く含まれており、物語に一層の厚みをもたらしている。
権力への欲、悪意、家族への愛情、高潔さ、名誉等々、人間の多くの感情があって、 多くの人間が残酷な結末へと向かってしまう中で、生きていくという時代設定ならではの重さを伴っているが、 壮大なファンタジーの世界観に魅了されること間違いなしの作品である。