その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-006 美しく輝くために②(36)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-006 美しく輝くために②(36)

音乃木坂図書室 司書

そこで再びにこは話を戻した。

「ということでさぁ、もうこれにしよう。にこWithえりま…」

にこが言葉を言い終える前に、絵里と真姫がシンクロした。

「却下!」 たったの一言だ。

「早いわよ!」 すぐに突っ込むにこ。

まるでコントかのような光景である。

にこのボケに対し、ツッコミを入れる絵里と真姫。

だが決してコントではない。

にこは大真面目であり、ボケているわけではないが、どうしても絵里・真姫対にこと言う2対1の構図となってしまい、にこが発言するたびに2人が突っ込むかスルーをするため、今の状況、つまり話が全く進展しなかったのである。

業を煮やしたのか、席を立つにこ。

「ちょっとにこちゃん、どこ行くのよ?」真姫の問いににこが答える。

「飲み物のおかわり買ってくるのよ」 打ち合わせを始めてすでに1時間。

最初に購入した飲み物は既に空になっていた。

「あ、待って、私も行くわ。絵里は?」

「私は大丈夫よ」そう言うと真姫はにこの袖をつかむようにして店内へと向かう。

その2人の姿を見て絵里は本当に仲の良い2人だなと思っていた。

その直後のこと、絵里に声をかける女性がいた。

「お待たせー、ってあれ?絵里ちだけ?」 現れたのは希である。

大学生になり、さらに大人っぽくなり色気も増した希は、歩いているだけで周囲の視線を集めていた。

「待ってたわよ希。にこと真姫はにこにー星へ旅立ったわ」

「なんやねんそれ...」

「飲み物を買いに行ったところよ。」

「そっか...で、どうなん?決まりそう?」

「だめね。全然決まらないわ...」

「だと思ったよ。どうせ話の途中で違う話になっちゃってるんでしょ?」

「さすが、希、何でもお見通しってわけね」

「まぁあの2人がいたら容易に想像がつくことやんか。あっ、戻ってきよった」

その2人、にこと真姫は仲良さそうに店内から戻ってくる。

「あら希遅かったわね」にこが言った。

「ちょっと用事があったんよ。それよりこっちと真姫ちゃんはいつも通りラブラブやね」

絵里と全く同じ事を言う希に対し、2人は同時に”違う”と否定する。

μ'sのメンバーからは、もうどこへ行こうとイジられる2人であった。

「そんな事より全然決まってないらしいやんか。今まで何してたんよ。3人も揃って。」

「それを言われると確かに...何も言えないわね。」

真姫がそういうのはとは対照的に、にこは自分のせいじゃないとばかりに言う。

「私がこれだけアイデア出しているのに全部却下するからでしょ!」

「にこちゃんのは全部ダメよ。全部自分なんだもの。」

「そうよ、にこのは論外だわ」

「なんだか聞いとるだけで大変そうやね。ちなみににこっちの案はどんなのなん?」

「よく聞いてくれたわね希。ふっふっふっ...」

ようやく自分の意見をまともに聞いてくれる希の登場に、気分をよくしたにこは、不敵な笑みを浮かべ、意気揚々と言う。

「では私のアイデアを発表してあげようじゃないの。にこと愉快な仲間達、宇宙No.1にこにーず、ラブニコニーズ、にこっと笑顔で1.2,JUMP、にこWithえりまきーず、...後はね、進撃のにこにーとか、あっ、オススメはにこちゅう(にこ中毒)かなっ。他にはね...」

にこの口からは次々とアイデアが出てくる。

この打ち合わせでは出てきてないようなものまで含まれている。

しかし... 「にこっち...それ全部あかんでしょ...」

さすがの希も予想を上回るものだった。

だがちゃんと最後まで、にこのアイデアに耳を傾けるあたりは、希の優しさであろう。

そしてにこの余りにも自分都合主義に苦笑する希であった。

にこの正面にすわる真姫が呆れるようにつぶやいた。

「はぁぁ...もう、にこちゃんってば...」

ため息混じりの真姫に対し、すぐににこは反論する。

「ちょっと真姫!あんたも人のこと言えないでしょうが。何よ、スルーマーライオンって。何?あんたシンガポールに行きたいの?イミワアンナイ!それにスリーキューティーハニーズとかバカなの?とりあえず3人だからスリーとつけとけばいいみたいな発想は何? 真姫、あんたは勉強のしすぎで頭の中膿んでんじゃない!?」

ここぞとばかりに怒涛の口調でにこは言い返す。

にこもにこだが、真姫の案も人のことを言えるようなものではなかった。

「ちょっ...やめてよにこちゃん。希の前で...私も真剣に考えてるんだから。それに何よ。頭の中膿んでるとか、そんな言い方ひどくない?」

「よく言うわね。あんたも人の事散々バカにするような事言っておいて。頭の中お花畑の方がひどいでしょうが。とある業界ではお花畑はトイレって意味なのよ!」

言い争うにこと真姫。

だが絵里と希には2人が仲良く戯れているようにしか見えず、2人して笑っている。

そんな絵里を見て真姫が言う。

「ちょっと絵里、何笑ってんのよ!絵里こそ何よ。

サンクトペテルブルクスってイミワカンナイ!
ただのロシアの地名じゃないのよ!
そんなユニット名ありえないでしょ。バカなの!?」

そう、今更であるが3人はユニット名を考えていたのである。

そこににこが便乗して絵里を攻め立てる。

「そうよ絵里、あんたも散々否定してくれたけど、真姫の言う通りよ。

何よチョコレート・ハラショー戦隊って!全然意味不明出し、戦隊だったらせめて5人組ユニットでしょうが。あんたも頭の中、白鳥の湖ね!いや、むしと湖にある足漕ぎのスワンボートね!」

「そ、そんな言い方ひどいわよ2人共...」

にこと真姫にまさか自分が標的にされるとは思わなかった。

軽くショックを受ける絵里。

しかしにこの言う頭の中、白鳥の湖の方がよっぽど意味不明であるが、そんなことはどうでもいいかのように、3人はお互いのアイデアを否定していた。

そんな3人を宥めるように希は言う。

「まぁまぁ、みんな落ち着いて。とりあえず、うちが聞いた上でいうと、3人共似たりよったり屋根。どんぐりの背比べで、目くそ鼻くそを笑うってやつやね。」

希の言葉に対し、その意味を理解した絵里は反省するかのような素振りを見せる。

しかし、意味を理解していないにこは上から目線で言う。

「やれやれ...希の言う通りよね。絵里も真姫も全然語彙がなくて困っちゃうわよね」

「うるさいっ!」 絵里と真姫がシンクロして言い返した。

とにかく希の言う通り、にこに限らず絵里と真姫のセンスも人の事をいえるようなものでないのは確かであった。

ユニット名を決めるために集まった3人+希。

そう、それは以前に真姫がにこに提案したスクールアイドルではなく、学校外でのアイドル活動。

つまり卒業した3人に真姫を加えたメンバーでのユニットである。

しかし、そのメンバーに希は入っていなかった。

4人でやろうと、もちろん希もさそった真姫であったが、何故か希は真姫の誘いを断ったのである。

”うちはやめとくよ。そのかわり3人を陰から支えるね” 希はそう言ってこのユニットのメンバーに加わることはなかったのだった。

そういう経緯があり、学外ユニットは絵里、にこ、真姫の3人で活動することになったのである。

希がカフェに合流してすでに30分...
今だに言い争ったりなんだりで、一向にユニット名が決まりそうな気配はない。

というより希が加わった事により、互いの近況であったり、ファッションやスイーツの話題になったりと、完全に話しの方向性もそれており、中の良い4人が楽しくおしゃべりをしているだけの様子を呈していた。

だがそれも仕方がない。 実際に仲の良い4人なのだから。

しかし、さすがに状況を見兼ねた希が話を戻すように提案した。

「うちがユニット名決めてあげようか?」

続く

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