宇宙海賊キャプテン・ブラックの話

ラグランジュ・ミッション


ラグランジュ・ミッション (ハヤカワ文庫SF2054)

ジェイムズ・L・キャンビアス 著 中原尚哉 訳

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ジェイムズ・L・キャンビアス 著

未来の海賊はハッカー

時代設定は2030年頃。人類は新たな資源として月からヘリウム3という資源を採掘して利用していた。

その市場価値は、4トンで20億スイスフランにもなるのだ。デビット・シュウォーツはヘリウム3を盗む海賊である。その名は宇宙海賊キャプテン・ブラック。

しかし、盗むと言っても、宇宙に出て盗むというわけではない。地球からは一歩も出ないどころか、高級ホテルの中で盗むのである。どうやって盗むのか。

それはヘリウム3輸送船をハッキングして、落下地点を変更し、うばうのである。

デビット・シュウォーツ。
彼は天才ハッカーであった。

そんな彼も十分な金を手に入れ、宇宙海賊を引退して ( トツトゥーガ・パイレーツ・ワールド)にて、 ガールフレンドとともに何不自由なく気ままに暮らしていた。

だがある日、ガバミ大佐と名乗る男に、再びヘリウム3輸送船強奪の依頼をされる。 怪しむデビッドであったが、自分の望む報酬を約束してもらい、再び天才ハッカーとして、 キャプテン・ブラックとして動き出すのであった。

しかしガバミ大佐の真の目的はヘリウム3強奪とは別にあったのであった。 ここからストーリーは一気に加速していく。

昔のガールフレンドエリザベスを始め、 ヨットで旅行中の女子大学生、デビットの 仕事仲間、警察に、 FBI、 空軍や NASA まで巻き込んでの展開となっていく。

その中で自身を大悪党と名乗るデビットであったが、その姿は恋人のことを思ったり、仲間の安否を思ったり、 また頭が良くて何でも自分の思い通りにできる分、不器用な面も多く持ち合わせるなど、実に人間らしい姿が描かれている。

宇宙に行かない宇宙海賊デヴィッド・シュウォーツ。そのストーリー展開は圧巻である。

とにかく面白いという一言に尽きる作品であると私は思う。