ハンヌ・ライアニエミ 著, 酒井 昭伸 訳
生と転生を繰り返す世界。
生が終わりを迎えると、静者≪クワイエット≫と言う機械へと転生し、感情のない制御ソフトウェアとして働き、時が来れば、再び生身へと転生する。
この世界ではヒトの精神(魂)はソフトウェア化されていた。
かつて怪盗として名を馳せたジャン・ル・フランブールの精神は、小惑星群にある監獄に閉じ込められていた。
そんな彼の前に現れたのはミエリと言う美少女であった。
ジャンを脱獄させたミエリ。
その見返りとしてミエリは火星にある移動都市、ウブリエットからあるものを盗むことをジャンへと依頼する。
一方ウブリエットでは名探偵の青年、イジドールの元へ怪盗から予告状を受け取った人物より、警備の依頼が入る。
こうして火星における名探偵と名怪盗の対決が実現することになるのであった。
のだが...それ以上にこの都市ウブリエットには大きな秘密があったのである。
未来の世界を舞台にし、物語の設定も細かく施されておりSF作品としてとても楽しめる作品だろう。
造語が連発したり、数ヶ国語(英語、フィンランド語、日本語等)の言葉が出てくるが、そこは翻訳者の方がルビや漢字の選び方、また補足として用語を解説してくれているので話も頭に入りやすい。
また登場人物のやりとりなどを見ていても面白くしっかりとその状況を思い描くことができる。
今作品は三部作と言うことで以降の作品も楽しみである