犬村小六(著)
極東の島国・日之雄。
皇家第一王女、白乃宮イザヤは、親戚で傍系の黒之家の10歳の少年クロトにプロポーズされる。
その目的は自分が皇王になるにはイザヤの地が必要だったからだ。
その行為は皇位簒奪とみなされ、黒之宮家は皇籍剥奪をされてしまう。
さらにそれが国民にばれて大逆罪として進退が極まってしまう。
そこでわずか10歳のクロトは大公洋の向こうの大国、ガメリア合衆国へと逃亡する。
敵国であるがガメリアでの差別は激しいものだった。
しかし天才であるクロトは自分の持つ異能で投資家として成り上がっていくのであった。
一方成長したイザヤは飛行駆逐艦「伊吹」の艦長として、部下と共にガメリア合衆国との戦いの中にいた。
そのイザヤのもとに掌空雷長として着任したのは、ガメリアに渡ったはずの幼馴染、クロトであった。
大逆事件を起こし、逃亡したクロトがなぜ…クロトはガメリアで投資家として富を築いていた。
だが相棒であるカイルに裏切られ、財産全てを失ってしまう。
それだけではなく、カイルは留学中に一度クロトの元を訪れたイザヤに目をつけたのだ。
クロトは怪物から日之雄を守るため、帰国を決意したのである。
そしてイザヤの参謀として、ガメリアとの激しい空戦へと突入していくのであった。
この作品は架空の世界、歴史改変、そして異能が組み合わさった空戦ファンタジーである。
最大の見所は緻密に描かれた空戦の模様だろう。
激しい空戦の様子を、見事な筆力でわかりやすく描いている。
アイドル的存在の 艦長イザヤとファンのような部下たちと、その設定も面白い。
また上司と部下と言う関係でで再会したイザヤとクロト。
その本心、思いとは裏腹に、互いに罵り合っているが、生死をかけた高度1200メートルでの戦場で、揺れる恋心も見所の1つである。
恋に戦闘にまさしくオペラと言うにふさわしい、とても面白い作品である。