西尾 維新 (著)
学芸員9010と名乗る人物が、ネットに上げた動画が再生回数1位を記録した。
その動画はスマホで制作したと思われる素人丸出しの動画だったが、立体駐車場が一瞬で火の手に包まれるものだった。
この爆破動画は本の挨拶代わりのものだった。
スキーウェアに帽子、ゴーグル、マフラーと言う格好で、匿名性の高い学芸員9010は、次なる犯行予告を行う。
次のターゲットは、とある現代美術館。
爆破動画と同様の規模で、閉館時間の午後8時に爆破すると告げる。
だが、犯人は来館者に迅速な避難を促し、さらに懇願するように誰か自分を止めてくれと訴える。
犯人の強行を止めるため、警察は動き出す。
爆破現場を担当する優良刑部、原木巡査、爆弾処理班のエース扉井警部補。
警察は捜査を進めるが目撃者もいない。
そこで犯人に浮上したのが、防犯カメラの映像で、爆発したバンに乗っていたドライバーの男だった。
「探偵を呼ばせてください。!」と任意同行で連れてこられた男は叫ぶ。
やけに場慣れした青年。
そう、彼は冤罪体質で、過去に数え切れないほどの誤認逮捕経験のある隠館厄介だった。
厄介が呼んだのはもちろん、最速の探偵である掟上今日子である。
今日子はあっという間に厄介の濡れ衣を晴らす。
警察は事件解決のために今日子を引き止める。
だが、それらは全て犯人の思惑通りであった。
学芸員9010は警察署の友人より、捜査情報を全て手に入れていたのだ。
かくして今日子と厄介は事件解決のため、現代美術館へと向かう。
果たして犯人の正体は、そして真の目的とは…
シリーズ第12弾。
今作は主要キャラの1人、厄介と今日子のコンビによる事件である。
薬付の冤罪体質っぷりはかわいそうな位の設定だが、今回もピンチに陥っているものの、互いの力によって乗り越えているし、毎度の事今日子とは良いコンビである。
ただ今作は人の良心にかけてみたりと、少々運任せ的な部分があり、探偵としては失敗だろうと言うところもある。
とはいえストーリーはいつも通り面白い。
あと西尾さんの作品をよく読んでいる人ならわかるが、今作にも伝説シリーズの主人公の名が出てきているので、知らない人には謎であろう。
空々君、懐かしい。
そういえば、物語シリーズにも地嚢(ちのう)さんも出てるし、愛着のあるキャラなのでしょう。
そんな私は西尾さん作品の大ファンである。