その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-010 君の名は①(64)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-010 君の名は①(64)

音乃木坂図書室 司書

ー5月下旬、音乃木坂学院スクールアイドル部部室にてー

BiBiの初ライブから数週間後。

それぞれが日常の生活へと戻っていた。

だが明らかな変化も起こっていた。

それはもちろんBiBiの3人である。

A– RISEのライブにて初ライブを行った結果、BiBiはμ‘s活動終了後の後継ユニットとして多くのメディアに取り上げられ、この3人は週末は様々なイベントに引っ張りだこであった。

すでにイベントでのライブにも出演し、BiBiの人気と知名度は日を増すごとにうなぎ登りである。

だが平日はあくまで学生であり、もちろん学業優先のため、それぞれがいつも通りの学校生活を送っていた。 当然真姫もそうである。

今日は練習前にスクールアイドル部に全員が集合していた。

この狭い部室(PC側)に全員が集まって、これから何が行われるのであろうか… と言うのも今日はラブライブ関東地区1時予選の結果発表の日なのだ。

音乃木坂からは3ユニットがエントリーしており、いずれも一年生によるユニットである。

新学期が始まって1ヵ月半。

すでに1年生もそれぞれユニットを結成し、ラブライブにエントリーしていた。

オリジナル曲のみでのエントリーと言うことを考えると、期間の短さを踏まえても、一年生ユニットのポテンシャルの高さがうかがえると言うものだ。

さすがにμ‘sに憧れて入学した子が多く、音楽経験やダンス経験者が多いと言うのもあってのことだろう。

そして、今回μ‘sとしてゲスト出演することになった6人は、新ユニットによる参加は見送っていた。

PCの前に陣取る花陽を筆頭に、1時予選の結果が出るのを今か今かと待っていた。

そんな中、雪穂が1人で騒いでいる。

「狭い、狭い、やっぱり狭い。部室が狭いよ、せーまーいーYo!」 まるでラッパーかのようなノリで、狭いと連呼している。

それを隣で聞いていた海未が呆れ顔で言う。

「うるさいですよ穂乃果!毎回狭いと騒いでもしょうがないじゃないですか。そんな変な歌作らないでください!」

穂乃果の狭いと言う言葉の連発に、ことりが思い出したように言う。

「あれ、そういえば花陽ちゃん、生徒会に部室の拡張申請っ...てしてくれ…てないよね?」

「あっ...すっかり忘れてました。完全に記憶の彼方でした」

「もー、部長ってば、しっかりしてよー。これじゃいつまでたっても部室が狭いままだよ。狭い狭い狭いー!」

穂乃果の発言に、思わず生徒会長の方こそしっかりしてくださいと言い返したくなる花陽であったが、そこは一応(あくまで一応)先輩なので、心の中で思うに止め、はいとうなずく。

だが真姫が花陽の思いを代弁するかのように言い捨てた。

「穂乃果うるさいわね、少し黙ってくれる?ていうか穂乃果の方こそしっかりしなさいよ。また生徒会の仕事溜めてるでしょ。海未から聞いて知ってるのよ」

「…それは…海未ちゃんなんで余計なこと言っちゃうの!」

「だったらしっかりやっていればいいだけの事でしょう。後輩にそんなこと言われて恥ずかしくないのですか!」

言い争いを始める雪穂と海未と真姫。

その横では我関せずとばかりにお菓子を食べる凛。

最初の頃はこんな光景に驚いていた一年生だったが、今ではすっかり見慣れたものとなっていた。

そして妹の雪穂はやれやれと言うようにため息をついていた。

「はぁー…お姉ちゃんマジうるさい!いい加減にしてくれる!?」

さすがに妹にまで言われたらおとなしくなる穂乃果であった。

「はぁーい、ごめんなさい…あ、ところで雪穂!」

穂乃果は何かを思い出したかのように妹の雪穂に尋ねる。

「なんでユニット名変えちゃったの?おしるこでよかったじゃん」

雪穂はやはり聞かれるだろうと思っていた。

話は戻るがラブライブにエントリーした一年生3ユニットのうちの1つが雪穂と亜里沙に梨緒と言う子加えた3人組ユニットのRay-OGであった。

彼女たちは結成当初は、おしるこガールズ(仮)と言う名で活動していた。

ユニット名の由来はよくわからないが、独特の感性を持つ亜里沙によって名付けられたものであった。

しかし雪穂と梨緒の激しい反対もあり、今大会へのエントリーを機にRay-OGとユニット名を変更していたのだ。

「ほらやっぱり。穂乃果さんならそう言ってくれると思ってましたよ。私もおしるこのままがよかったのになぁ」と言うのは亜里沙である。

同志を得て、嬉々とした声を上げる亜里沙であったが、すぐに雪穂が全否定する。

「いや…普通にダサイし、普通にないよね…」

そこに普段先輩の前では口数の少ない梨緒も同調する。

「ダサいし、ありえないし、意味わかんないし」 メンバー2人に全否定され、すでに改名済みだが亜里沙もひかない。

「あぁ、そんなことないよ。おしるこって日本の女の子っぽくていいと思うけど。可愛くてよかったのになぁ。あ、それともおでんでんずのほうがよかった?雪穂はカレー派だっけ?」

何を言ってるのか理解できない雪穂と梨緒は諦めたかのように苦笑する。

やはり亜里沙の感覚は少々独特なのだ。

しばらくはこの3人のユニット名問題は続くのだが、最終的に(当然)変わる事はなく今のRay-OGと言う名で落ち着くことになるのであった。

それは先輩後輩関係なく誰もが認めているものだった。

そんななごやかな雰囲気の中、時刻が16時になるのと同時に花陽が大きな声を上げた。 「決ました! 一次予選通過ユニットの発表です。

二次予選に進めるのは40チームのみです!」大激戦区の関東予選の総エントリー数は軽く1000を超えている。その中で一次予選は行われ、二次予選へと進めるのはわずかに40チームと限りなく狭き門なのだ。

全員が注目する中、花陽が通過順位ごとに発表していく。

「では発表します。1位.Cestlavi・東京UTエックス高校、 2位.Snowdrop・神奈川横浜女学院、3位.milkyway東京押上ST高校…上位は予想通りですね。

A– RISEの後輩のCestlaviに前大会好成績のSnowdrop、そして前回、私たちμ‘sと東京予選を争ったmilkyway。

実力人気通りの上位3チームだと思われます」 その後発表は続く。

上位3チームに続くのは前回大会で実績のあるユニットを中心に、以前から活動しており知名度もあるスクールアイドルが中心であった。

半分以上発表したところで花陽は一瞬言葉を止めた。

そして再び口を開く。

「きました… 33位にRay-OG、そして39位 にAphrodite=Venus、ともに東京、我が音乃木坂学院です!」

花陽の発表に部室は絶叫にも近い歓喜の声が上がる。

エントリーした1年生ユニット、3つのうち2つのユニットが一次予選を突破したのだ。

いくらμ‘sで音乃木坂が有名になったとは言え、結成して間もない一年生ユニットが2チームも二次予選へと進出したのは快挙と言っていいだろう。

Ray-OGは前述の通り雪穂、亜里沙、梨緒による3人組ユニットである。

そしてもう一つのユニットAphrodite=Venusは双子の姉妹による5人組のユニットである。

メンバーの全員がとにかくμ‘sが大好きでμ‘sの女神と言う意味にちなんでこのユニット名にしたのだ。

ちなみに愛と美の女神と言う意味でギリシャ神話とローマ神話でのアフロディーテとビーナスをなんとなく1つにしただけのユニット名である。

そして残念ながら通過できなかったユニットS-Girls(スペクタクルガールズ)は、6人組のユニットであり、こちらのユニットも今後の活躍が期待できるものであった。

「一次予選通過したみんなはおめでとう。またすぐに二次予選があるから頑張ってね。通過できなかったS-Girlsのみんなもまた次頑張ろう?」

雪穂は後輩の皆へと声をかけた。

こういう後輩を思いやる姿は普段の少しだらしない穂乃果とは別人のようである。

そして不思議と穂乃果にそう言われると、何でもできるような気になるのだ。

それは実際にμ‘sとして穂乃果がやって見せてきたことだから、なおのこと力のあるものなのだろう。

穂乃果の持つ言葉の力は本当にすごい。

続く

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