狂気のマッドサイエンティスト「鳳凰院凶真」

Steins:Gate 円環連鎖のウロボロス


Steins:Gate 円環連鎖のウロボロス

海羽 超史郎 (著)

時代設定は2030年頃。

舞台は東京、秋葉原。 未来ガジェット研究所という名のラボが入った2階建ての古ぼけたビル。

マッドサイエンティスト「鳳凰院凶真」を名乗る厨二病全開の痛い大学生、岡部倫太郎は未来ガジェット研究所のリーダーとして日々研究を重ねていた。

(とはいっても、科学者でも何でもないので拾ってきたゴミを改造している程度である...)

ある日のこと、妹のような存在であり、ラボのメンバーでもある椎名まゆりと共にラジ館にて開催されるタイムマシンに関わる記者会見へと足を運んだ時に、事件は起こった。

記者会見会場には天才少女として有名な科学者、牧瀬紅莉栖も来場していたのだが、その、天才少女が殺害されてしまうのだった。

現場を目撃した岡部は怯えて逃げるようにラジ館を後にする。

事の経緯を相棒のダルこと橋田至にメールをする岡部、 だがその瞬間にめまいのように視界が歪み異変に襲われるのだった。

ふと我に戻り、気がついた岡部は別の場所に移動しており、さらに周囲の人間が消失していたのである。

まゆりに声をかけられ、岡部は正気を取り戻すが、そこは歴史の変わった世界だったのだ。

その事実をまだ知らない岡部は狼狽する。

歴史が変わる前の世界のことを、岡部以外は誰も覚えていないのであった。

そしてこの歴史の変わった世界では、殺されたはずの牧瀬紅莉栖は生きていた。

さらには未来ガジェット研究所でも異変が起きていたのである。

電話レンジ(仮)と名付けられた発明品。

単に携帯電話と電子レンジをつなげて遠隔操作が可能となるだけの代物であったが、自然解凍状態の唐揚げを温めたら、逆にカチンコチンに凍ってしまったり、バナナを温めたら緑色の気色の悪いゲル状のバナナに変化したりという具合にである。

その後岡部は牧瀬紅莉栖と再会し、紆余曲折を経て紅莉栖はラボメンバーに加わり、謎の電話レンジ(仮)の実験と検証が続けられていく。

その結果電話レンジ(仮)を使って過去にメールが送れるという驚愕の事実が判明する。

色々と制限はあるものの、過去にメールを送って過去が改変できるということ、つまりは歴史を変えることのできる装置であった。

このメールを Dメールと名付け、実験を繰り返して世界は次々に変わってゆく。 もちろん岡部以外は変わる前の世界を覚えてはいない。

実験を繰り返す過程で SERN という組織がタイムマシンの研究をしているのを知り、ダルによってハッキングに成功するが、そこには恐ろしい事実が隠されていた。

SERN が過去に行った研究で、ジェリーマンレポートというものが存在し、それはゲルバナナの人間バージョンであったのだ。

そして未来ガジェット研究所の一同はついにタイムマシンの開発に成功してしまう。

ただしタイムマシンと言っても肉体を含む物理的転送ではなく、記憶だけを過去に飛ばす、タイムリープマシンであった。 だが多くの過去改変を行い、たどり着いたこの世界線でタイムリープマシンを完成させたことにより、大変な事態が起こってしまうのである。

すべての情報は SERN に筒抜けだったのだ。

突如ラボは SERN のラウンダーという人間たちに襲撃されてしまい、その結果ラウンダーによってまゆりが殺されてしまうのだった。

この世界線ではまゆりは死んでしまう運命だったのだ。

岡部はまゆりを救うべく、未来を変えるべく 、ラウンダーの攻撃をかいくぐり、タイムリープを決行するのだった。

岡部倫太郎の果てしない戦いが始まろうとしていた。

そう全てはシュタインズゲート、「運命石の扉」の選択がままに...。

原作はゲームであるシュタインズゲート、その小説版。

原作を知らずに読んだが相当面白い。

内容はタイムマシンという典型的な SF であるが、ストーリーの構成も素晴らしく、読んでいて一度も飽きることはなかった。

登場するキャラも全て個性が強く、際立っており、秋葉原の地理に詳しい人であれば、キャラの挿絵も相まって脳内にてアニメを見てるかの如く、イメージできるだろう。

物語としては主人公が過去を改変することにより、違う世界線へと移り、最終的にたどり着いた世界で大問題が発生しさあ大変だ、どうしようとなり、過去、そして未来を変えるためにひらすらもがくというものである。

特に後半(第2巻)の大部分が、8/11~8/16の間を何回も何回もやり直すという展開だが、飽きずに話を読ませる内容は素晴らしい。

物語は岡部の一人称で語られており、所々でいたい言葉や面白い語りがあり、紅莉栖とのやり取りも絶妙である。

苦難の連続の末にハッピーエンドへと向かう展開に思わず安堵の気持ちになってしまう。

ライトノベルとしての読みやすさ、 SF の内容ありと素晴らしい作品であると思う。