安里 アサト著
特別偵察での別れから2年、ついにシンとレーナは再会を果たす。
電磁加速砲型レギオンの討伐に成功したギアーデ連邦軍は生き残ったエイティシックスの兵士、士官を得たのである。
だが特殊な環境課にあった86の兵士が通常の軍にすぐさま適応できるわけがない。
そこでれーなを総指揮官とする第86独立機動打撃群が設立される。
シンを総隊長とし、スピアヘッド舞台やシンたちの後ろに、レーナが指揮していたジデン率いる部隊といった錚々たる、メンバーであった。
再会を果たしたシンとレーナは少しずつ距離を縮めていくのだが、シンにはレーナが無理をしているのが分かっていた。
鮮血の女王と呼ばれ、強い振りをしていなかったら耐えられなかったのだ。
全てを見透かされたレーナはシンにしがみつき大泣きしてしまう。
そんな雰囲気の2人にクレナやフレデリカは嫉妬していた。
戦時とはいえ、今までにない空気であった。
だが、それもつかの間、第86独立機動打撃群に任務が下る。
サンマグノリア共和国、旧地下鉄ターミナルにレギオンが拠点を築いていたのである。 この拠点をたたくため、シン達は再び戦場へと赴く。
目標は発電プラント型と自動工場型の撃破である。
地下ターミナルに侵入したシン達は発電プラント型の討伐に成功する。
だがそこに新型レギオンが待ち構えていた。
さらに知能を持つ羊飼いと呼ばれるレギオンが大量にいたのである。
レギオンはサンマグノリア共和国の人間の脳を大量に鹵獲していたのだ。
ただの破壊兵器である機械が人間と同等の知能を持つ...
それは人類にとって恐ろしい事であった。
そしてレギオンの真の目的はシンであったのだ...
レーナとシンの共闘を描いたシリーズ第4弾である。
今作では作者も言っている通り、比較的ライトな部分が多い。
特に前半に関しては顕著であろう。 シンを奪いあう乙女の話のようである。
その一方、後半は一気にレギオンとの戦いとなり、かなりエグイ摸写もあったりする。
レギオンが進化していく過程、また一度だけ名前が出てきたレギオン開発者の天才科学者ゼレーネ・ビルケンハウムはすでに死亡したことになっているが、その真相は不明であり、今後どのようにかかわってくるのかが楽しみである。
今作でもあたらしいキャラが登場し、シンの幼なじみであったアネットとのシーンが描かれるなど、レギオンとの戦闘以外にも読みどころが多い。
何はともあれ、EP.1~3を通し、EP4の今作でようやくシンとレーナが初対面し、少しずつ距離が縮まっていくのが安堵に近い気持ちになり、読んでいて少しだけ嬉しい気分になる。