音乃木坂図書室 司書
ラブライブの続きを勝手に考えてみる EP-000プロローグ ③(4)
スクールアイドル部の部室へと入室した絵里。
PC が置かれた机。
いつもみんなで座って騒いでいた長机・・・
見慣れた場所ではあるが、棚や壁にあったアイドルグッズのほとんどがにこの私物であった。
卒業に伴い私物は 整理されていた。
そのためかなり物量が少なくなっており、以前に比べもの寂しくなっていた。
それでも新部長の、 花陽を中心にそれぞれアイドルに関するグッズが持ち寄られていたのだが、 中には食べ物やお菓子に関する本や雑誌等もあり、 思わず苦笑してしまう絵里であった 。
「どうせこれは 穂乃果よね 。あの子は相変わらず食べることばっかりね・・・。」
部室を見渡すと、やはり自分たちμ'sのグッズや、A-RIZE のグッズが多いなかで、絵里はとあるものを発見した。
「 あれこの DVD って確か...」 それは伝説の伝説の伝説。
略して伝伝伝と呼ばれているアイドル DVD であった。
これを初めて目の当たりにした花陽は興奮のあまり絶叫し、 卒倒しかかったというほど、 幻の DVD なのだった。
かつて にこ と、花陽が話していたが、3枚組のこの DVD は今では市場にほとんど出回っておらずに、その相場は10万円を超えるというのだ。
そんな伝説の幻の DVD をにこは観賞用と保存用で二つも持っているのだが、 そんなにこをまるで神を、崇めるような視線でたたえていた花陽の姿が、記憶に新しい。
これって にこの私物で保存用だから、見るのも絶対に駄目って言っていたような気がするけど・・・。」
懐かしい記憶がよみがえる中、よく見ると DVD と共に一枚の覚書があることに気づく。
” 観賞用持ってきてあげたわ。でも貸してあげるだけだからね。
あんたたちが卒業する時には、ちゃんと返しなさいよ。 にこより。
P.S. 汚したり破損した場合には、金10万円請求させていただきます。”
「 もうにこったら相変わらずなんだから。
でも追伸の10万円っていうのはリアルで少し怖いわね・・・。」
どうやらにこは今でも、度々音乃木坂に来ているようである。
あれだけ絶対ダメと言っておきながら、大切な DVD を貸してあげるあたりは、後輩思いの優しい先輩である。
物量が減ってしまい、少し寂しくなってしまった部屋ではあるが、 以前とは変わらずにラブライブ優勝旗や優勝トロフィーが飾られており、改めて見ても、それらはすべてが昨日のことかのように鮮明に蘇ってくる絵里であった。
(* 優勝旗は次回決勝大会前に返却することになっている。
なぜこんな大切なものが物質で保管されているのかは元生徒会長の絵里にも分からない)
優勝旗には第1回大会A-RIZE、 第2回大会μ'sの名が、優勝チームとして刻まれている。
まだ始まったばかりで歴史の浅いラブライブではあるが、こうしてA-RIZE とともにμ’s として歴史に名を刻めたことに感慨深くなってしまうものであった。
それは卒業した希、 にこを始め他のメンバーにとっても同じであろう。
( きっと私たちにとっては一生忘れることのない大切な思い出ね。)
同じ時間を共に共有した大切な仲間たちとのかけがえのない日々・・・
特に絵里にとってはその想いも人一倍であっただろう。
さらに教室側の部室( 後に新しくもらった部室) に絵里は移動する。
そこにはμ’s として着用した数多くの衣装がそのまま残っていた。
つい先日に使用した衣装から一回しか着なかったもの。
懐かしい衣装 ・・・ ことりが中心となり、デザイン制作し、細かいところをみんなで手伝って仕上げて...
曲から衣装、振り付けまですべてをゼロからみんなで作り上げて...
PV 撮影やライブの時には多くの人が協力してくれて...
9人だけじゃなく多くの人の思いが詰まったのがμ’s と言う グループだったのである。
以上眺めながら絵里は様々なことを思い出していた。
「 うわっ、これ懐かしいなあ。 一回しか着なかった衣装だ。
これは私がμ’s に入って 一番最初にやった、 ぼらららの衣装じゃない!」
思わず絵里は声を上げてしまっていた。
衣装といえば 穂乃果が太ってしまい、最初の頃の衣装が着れなくなり 海未に怒られたあげく、泣く泣くダイエットしたこともあったなと、ついつい思い出し笑いをしてしまう絵里。
一通りの衣装を見回した後、とある衣装の前で立ち止まる。
目の前にある衣装、それはラブライブでの 優勝を成し遂げた時の”kira-kira-Sensation” の衣裳であった。
それぞれがメンバーのイメージカラー( 絵里は水色) にて作られており、 絵里もこの曲と衣装には強い思い入れがあったのだろう。
「 誰もいないし・・・ きちゃおうかな。」 言うが早いか 絵里は来ていたスーツを脱ぎ捨てて衣装に着替え始める。
あっという間に 衣装を身に纏い、鏡の前でくるりと回りポーズを決める。
色々な思いが 過っていたのだろう。
しばらく何かを考えるように鏡の前で立ち止まっていたが、 ゆっくり動き出したかと思うと、体が自然に動くかのように、絵里は次第に躍り出していた。
鼻歌で”kira-kira-Sensation” を口ずさみながら・・・ 気づけば徐々に、 しっかりとした振り付けで躍っていた。
無意識だったであろうが、気付いた頃にはもう体が止まらなかったのだろう。
夢中になるあまり周囲のことなど気にも留めないで板を撮るのが楽しくて廊下から近づく足音に気づくこともなかったのであった。
続く