その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019 僕たちはひとつの光③(143)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019 僕たちはひとつの光③(143)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019 僕たちはひとつの光③(143)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

会場には軽快なリズムのSOUNDが響き渡る。

開演を間近にして、会場は独特のざわめきに包まれていた。

今か今かとライブを待ちわびる観客席。

今回の大会は正面のステージとは別にアリーナ席の中央に島が設けられており、ドーム等の大きい会場ではお馴染みの四方360度から見渡せる特設ステージも用意されていた。

そしていよいよ時刻は13時になる。

その瞬間会場に流れていたサウンドが止み、正面ステージが色鮮やかな照明で照らされるとともに、特大スクリーンにはカウントダウンの数字が写し出される。

会場が一体となって数字をカウントダウンしていく。

0になると、大きな音とともにステージが白い煙で包まれ、再び照明が落とされる。

一瞬の静寂の後、会場2曲が流れだす。

その曲はA– RISEのスクールアイドル時代の大人気曲であるPrivate War だった。

正面スクリーンにはファーストラブライブウィナーアライズと写し出されている。

が、当のA– RISEの3人の姿はまだない。

だが次の瞬間に会場は大歓声が沸き上がった。

ステージが再び鮮やかな照明で照らされ、曲の歌い出しとともにA– RISEの3人はゴンドラに乗って空中から現れたのである。

会場全体が揺れるかのような大歓声がA– RISEに注がれ、まばゆいほどの美しいサイリウムの彩りが波のように輝いている。

スクールアイドル出身でプロのアイドルとして活躍する大人気のA– RISEは、誰もが憧れるような存在であった。

デビューからまだ数ヶ月とは言え、その人気は凄まじく、ライブのチケットは入手困難な位である。

ゴンドラから降りて、ステージに立った3人は懐かしい曲を楽しそうに披露する。

ライブ開始から早々に会場を魅了し、一体となるA– RISEの存在感は圧巻の一言だろう。

そして続けざまに同じくスクールアイドル時代の代表曲の1つShocking Party を披露した。

「こんにちはA– RISEです!」

2曲を終えてツバサが会場に向けて叫ぶ。

アドレナリン全開と言うように、テンションは最高潮のツバサに応えるように会場も大きな歓声を返す。

ツバサ同様、あんじゅと英玲奈も声援に笑顔で答えている。

「みんなありがとう。まず最初に今日はゲストとして出演させていただき、ありがとうございます。

ラブライブ運営やスタッフの皆さん、そして応援してくれる皆さんに感謝しています。

μ'sと共にこうしてゲストと言う形でラブライブの舞台に再び立つことができて最高に幸せです。

今日は私たちと、そしてスクールアイドルのライブを最後まで楽しんでいってください!」

ツバサの挨拶に会場を開く。

らしくもない固い口調での挨拶をしたツバサ。

しかしあくまでそれは本当の意味でただの挨拶に過ぎなかった。

ツバサの真骨頂はここからである。

「ていうかさぁ、なんでμ'sが今回出ることになったかみんな知ってる?」 

突然フランクな口調で会場に問いかけるツバサ。

これがいつものツバサである。

会場からは、“わからない“、“なんで?“、“教えて“と言う声が返ってくる。

「それはね、私が運営にμ'sが出ないならA– RISEも出ないって言ったからなの。

そしたら運営ってばすごい焦ってて超笑えたんだよね。

それでね、みんな聞いてよ。そのことをね、絵里に言ったらなんて言ったと思う?あ、絵里ってμ'sの絵里のことね。μ'sの絵里と希は私と同じ大学で友達なの。

学部は違うけど、いつも一緒にいることが多いんだ。

希ってばさぁ、あんな巨乳なくせして、すごい頭良くて、絵里も絵里でさぁ、モデルみたいなスタイルのくせに頭いいし。

あ、そういえばねBiBiと前にライブやったときにね…」おしゃべり大好きなツバサは、まるで友達に話しかけるかのように会場に向かって話し続けている。

だがその内容は途中で脱線しすぎていて、とりとめがなくなっていた。

A– RISEの、そしてツバサの人気の理由の1つとして、ファンとの距離が近いと言うことが言えるだろう。

アイドルだからといって、変に気取ることもなく、誰に対しても同じように接する姿が。

その姿が消して作っているわけでなく、自然な形であり、ツバサの性格そのものが多くの人を惹きつけているのだ。

控え室で自分の話題を出された絵里と希は苦笑いをしていた。

「それじゃあ、次の曲行くよー!」

ツバサの長いおしゃべりやMC、プロデビュー後の曲等を含め、オープニングゲストのA– RISEによるライブ30分と言う時間はあっという間であった。

だがその30分は濃密であり、観客を熱狂の渦に巻き込んだのは言うまでもなかった。

そしてオープニングライブが終わり、会場は第3回ラブライブ決勝大会、スクールアイドルのライブがスタートしていた。

近年、スクールアイドルのレベルが急激に上がっている。

その理由がラブライブが公式の大会としてスタートした事、そしてA– RISE、μ'sといったスクールアイドルによって人気も知名度もぐんと上がったことが挙げられる。

今大会も熱い戦いが繰り広げられるのは必至だろう。

会場からはA– RISEのライブにも負けない位の盛り上がりと声援が聞こえてきていた。

ライブを終え控え室に戻ってきたA– RISEに、待ち構えていた絵里が声をかけた。

「お疲れ様、とても楽しいライブだったよ。でもツバサは、私をネタにするのはやめてよ、恥ずかしいじゃない」

「絵里、もう最高よ、ラブライブ楽しすぎるね!いや、ほら、絵里は人気あるし、まぁいいかなぁと思って。それより楽しかったから、μ'sのライブに乱入してもいい?」

「え、いや…それはちょっと困るかも…」

「えーいいじゃん。BiBiの時みたいにさぁ」「μ'sは今日のライブが最後だから…」

「あー、そっか…」

「…でも…」と言うと絵里はツバサの耳元でささやいた。

「フフッ…オッケー!じゃぁμ'sのライブ楽しみにしているね」

それからスクールアイドルのライブも次々と進んでいった。

残すところもあと数組。

μ'sの控え室では、それぞれが出番を待つまでの時間を自由に過ごしていた。

全員がモニターでライブを見つつ、本を読んだり、スマホをいじったりする中で、にこと花陽は熱心に全スクールアイドルのライブを眺めていた。

にこが花陽に尋ねる。

「で、どうなの?花陽の今のところの予想は?」 

この2人、まるで審査員かのような面持ちである。

「はい、そうですね。どのスクールアイドルの子たちも個性があって素晴らしいです。

ただ、その中でも私は先程のエントリーNo.21番の名古屋のユニットの子達が頭1つ抜けているかと。そのパフォーマンスは目を見張るものがありました!」

完全にアイドルモードの花陽は熱く語る。

「なるほど、さすが花陽ね。私も同じ意見だけど、エントリーNo.17番の札幌のユニットの子もかなり良いものを持ってたよね。後はこの後に登場するA– RISEの後半ユニットあたりが優勝争いに絡んできそうだよね」

「さすがにこちゃん、目のつけどころが違いますね。私もそう思っていました!」

「まぁ、アイドル好きなら当然よね」

「いえいえ、にこちゃんならではの千里眼です。さすが我が師匠です!」

「花陽、あんたはやっぱりかわいいわね」

にこと花陽の本気トークはこの後もまだまだ続いていく。

一方で穂乃果はお菓子を食べながらライブを見ていたが、途中で限界が来て力尽きたのだろう。

お菓子を持ったままスヤスヤと寝息を立てていた。

その隣では凛もうとうとしていた。

そしてスクールアイドル全32ユニットのライブも終了した。

残すのはエンディングライブのみ、もうまもなくμ'sの出番である。

続く

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