音乃木坂図書室 司書
穂乃果とことり、花陽が合流した頃と同時刻、アキバのとあるカフェには海未と希の姿があった。
ここはμ‘sとしてよく利用している場所であり、海未は楽しそうに希と談笑にふけっている。しかし、2人は多くのμ‘sファンの人から声をかけられていた。その理由、それはμ‘sメンバーの中で唯一海未は変装をしないからである。
この飾らない性格は海未の魅力の1つでもあるが、時としてそれは囲まれたりしてしまう原因の1つとなっており、メンバーが困る時もあるのだ。
そんな海未の性格をおもんばかってか、希はあらかじめサングラスを2つ用意しており、強制的に海にかけさせていた。最初は拒否した海未だったが、希にかけないとワシワシやでと凄みを聞かせられたため、不承不承を従ったのである。それはさておき、しばらくして2人に合流したのは凛だった。「お待たせ海未ちゃん希ちゃん。遅くなってごめんね」
そんな凛の凛には一緒に1人の少女が立っており鈴とともにその少女も椅子に腰を下ろした。「望ちゃん紹介するね。名前は聞いたことあるかもだけど、うちの1年生部員でPrintempsの作曲をしている三森愛乃ちゃんだよ」凛が連れてきたのは音乃木坂スクールアイドル部の後輩である愛乃だった。希は音乃木坂の学園祭に参加できなかったので、愛乃と会うのはこの日が初めてである。「はじめまして、三森祈っています。私μ‘sが大好きでいつも見てました。希先輩に会えて光栄です」
愛乃はとても丁寧な口調で挨拶をする。
憧れだったμ‘sの登場望であり、うれしそうなのがその表情からもよくわかる。
「wow、めっちゃ美少女やんか。よろしくね愛乃ちゃん。そんなシャチホコばらないでいいよ。気楽に話してな」
憧れの先輩に美少女と言われ思いっきり照れて頬を赤らめる愛乃その何気ない仕草1つとっても可愛かった。海未、林望。この3人だけで集まると言うのは珍しかった。いなと言うより初めてである。
「では凛、説明お願いしますね」
海未が凛へ振った。
「うん。簡単に言うとね、このメンバーでユニットをやるにゃ!」
海未に説明を振られた凛。それは何の説明にもなってなくただ単刀直入に言っただけであった。
愛乃は事前に説明を受けていたが希は初耳である。
あまりにも説明が足りなかったため、希は凛に聞き直していた。
「凛ちゃん、うちらでユニットやるって事?」
「そうだよ今言った通りににゃ!」
そこに海未が蛇足と言わんばかりに(というか、ほぼ全て凛の代わりに)付け足す。
「凛…それ全然説明してないじゃないですか…えーっとですねー、私と凛は当初Printempsに誘われていたのですが、それぞれ理由があり断ったんです。
でもそれがクリアになった今、私たちも新しく何かを始めたいと思いました。
そこで私と凛で愛乃に声をかけて新ユニットをやろうとなったのです。
そしてそのメンバーに希も加わってほしいと思い、お願いしました」
海未は生徒会、弓道部、そしてμ‘sにスクールアイドルと多忙だったため、断った。
だが先日の弓道部引退で時間に余裕ができたのだ。一方の凛は、当時他の学校に通う先輩から学外でのアルバイトやアイドル活動に誘われ悩んでいた。
なので同じく誘いは断っていた。
結局は学外での活動の誘いも熟考の上に断り、海未へと声をかけたのだ。海未の言葉を受けて、凛が話を進める。
「てっ、ことでこの3人でユニットをやりたいなと思って。Printempsと掛け持ちになっちゃうけど愛乃ちゃんにも作曲って形でユニットに参加してもらうことになったんだ。どうかなぁ、希ちゃん?」 望に道倫。
その表情は真剣そのものだ。
語尾ににゃんをつけていないのがその証拠である。
その思いに応えるように希も真剣な口調で言う。
「実はね、うちもbiBiに誘われたんよ。でもBiBiはあの3人が1番だと思ってうちは断った。でもやっぱりあの3人の活躍を間近で見ていて、うちも何かやりたいと思ってた。だから、うちの返事はもちろんオーケー。うん、やろう!うちらもBiBiやPrintempsに負けないようなユニット目指そう!」
希の言葉に皆が一斉に喜びの表情を浮かべた。
「やったー、決まりだね!みんなよろしくね!」
凛が言った。そこで愛乃が口を開く。
「私、Printempsの曲はふわふわとしたいかにもかわいいアイドルを意識して作曲してるんです。一方で今回のお話をいただいたとき、イメージ的に大人っぽい感じがいいと思いました。
例にこんな曲作ってみたので、よかったら聴いてみてください」
あいのわ言うパッドを取り出し、曲を聞かせる。3人はその昔の素晴らしさにする。
「えーやんこの曲超!アダルトな雰囲気で最高やんか!」
「はいすごい大人っぽくて素敵な曲ですね」
「ちょっと昔っぽい感じ…でもこういうのも凛は好きな!」
愛乃が用意した曲は、以前穂乃果に話していた昭和っぽいテイストの曲を、より大人っぽく仕上げたものであり、愛乃の作曲センスが存分にうかがえる曲だった。
「では決まりですね。今日から4人で活動を始めましょう!」
海未が言った。
さらに凛が皆に尋ねる。
「うん、決まりや!それじゃあユニット名はどうする?」
ユニット名…それはμ‘sicforever然りBiBiー然り、決めるのにいつも苦労してきた。
だが今日はそれらの名づけ親の希がここにいる。
「そうやね…大人っぽくてアダルトな感じのこの局長…」
思案顔で希は悩むこと1分。ひらめいたとばかりに提案する。
「うん、lily-white…なんてのはどうやろう?」
「lily-white…白百合ですか。アダルト感満載ですね!」
「意味はわからないけど、かっこいいにゃん!lily-white約してリリホワ…響きがいいねぇ!運転にしよう!洋子、今日から旅のスタートに!」
さすが希である。わずか数分でユニット名は決定した。
こうしてこの日、μ‘sの残る3人、園田海未、星空 凛、東條希は三森愛乃を迎えて新ユニットlily-whiteを結成したのであった。
続く