吉上亮(著)
対日工作員であるチェ・グソン。
シビラシステムの仕組みを入手するため、5年にわたり日本で潜入工作を続けていた。
しかし任期が残っているにもかかわらず祖国への帰還を命じられる。
だが帰りの船は国境警備隊のフリゲート艦に見つかり、容赦なくエリミネーターによる攻撃を受けてしまう。
1人だけ命を守られるようにして生き残ったグソンは母国、朝鮮人民共和国へと帰国した。
そのグソンの前に現れたのはかつての友で、現在は高級官僚のギュンテだった。
真実を知らずにいる事実だけがお前を守る唯一の方法だと彼は言う。
そしてグソンは最愛の妹であるスソンと再会を果たす。
その後グソンはギュンテとともにアリラン祭の会場へと向かった。
そこで行われるプログラムの演技に妹も参加していた。
ギュンテはアリラン祭でグソンにしかできない大きな仕事があると言う。
だがアリラン祭で行われたプログラムは、演技でなくクーデターであった。
目の前に広がる殺戮の嵐…
なんとが妹を連れ出し、脱出したグソンであったが、その先でとらわれてしまい、彼に待っていたのは残酷な運命であった…
孤独なハッカーであるグソンの生き様と、槙島聖護との出会いを描いた「無窮花」。
執行官になったばかりの縢秀星、5歳の時潜在犯と認定され執行官になるまで、ずっと隔離施設で生きてきた彼は連続異物混入事件を追うことになり、聞き込みのため訪れたのは、古びたレストランだった。
オートサーバーによる食事が当然の世の中で、食材を加工し、調理して提供するその店で、縢は食への考えを大きく変えることになる「レストラン・ド・カンパーニュ」の2編を収録した作品である。
アニメ、サイコパスのスピンオフノベライズ第1弾。
今作は本編で槙島の協力者であるチェ・グソンと執行官縢秀星について書かれている。 どちらも境遇は違えど、世界から、国から見放された存在で、特にグソンについては残酷な過去を背負いながらも、近未来社会において孤独に生きていく姿が描かれている。
グソンの「無窮花」はかなり過激な模写があり、苦しくて切なくて悲しい物語は考えさせられることも多い。
原作とは違った魅力ある作品である。