前代未聞の人工衛星テロ

君死にたもう流星群


君死にたもう流星群

松山剛 著

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松山剛 著

 

スペースベイビーと呼ばれた女の子。

天野河星乃は人類史上初めて宇宙で誕生し、一躍有名になる。

天才的な両親を持ち、星乃もまた幼くして頭脳明晰で明るく、とても幸せな家庭であった。

とある事件が起こるまでは...

それは宇宙飛行士の両親にとっては、あまりにも不運な出来事だった。

船外作業中の不運な事故により、両親を失ってしまった星乃は、次第に心を閉ざしてしまう。

人間が嫌いになり誰も信用できなくなり、やがて引きこもりとなってしまうのであった。

しかし一人の少年との出会いにより大きく変わることになる。

平野大地、 彼は何でもそつなくこなし、極度に無駄を嫌い、常にコスパを重視する男であった。

知り合いの頼みで大地は星乃のアパートを訪ねる。

そのことによって、二人の運命は大きく変わっていく。

誰とも一切関わろうとしなかった星乃は、大地によって少しずつ人と接することができるようになり、やがて引きこもりを克服する。

そして元々の天才的な才能を活かし、両親と同じ宇宙飛行士を目指すのであった。 それから数年後星乃は、自分の夢を叶える。

史上最年少の若さで宇宙飛行士になった星乃は、両親の研究を受けつぎ、ISSにて活動していた。

だがそこで悲劇が起きてしまう。 世界一美しいテロと呼ばれた事件。

全ての人工衛星が突然落下し、大気圏でも光の粒となり、その光景はまるで流星群が、地球に降るかのような現象であった。

ISSも同じくして消え去ってしまったのだった。

唯一の犠牲者となった星乃の命は、こうして宇宙に消えていったのであった。

それから3年、二十代半ばになった大地は、定職にもつけず、バイトの面接すら受からず、ゲームと酒に浸り、親の遺産で生きる無職のダメ人間と化していた。

あれほどコスパを重視してたにも関わらず、ろくでもない生き方をしている自分に嫌気がさしていた。

特に高校時代の友人と比べると、その差は開くばかりだった。

ある日のこと知人の女性から星乃の遺言が見つかったと報告を受け、その後星乃のアパートの遺品整理を頼まれる大地。

星乃の部屋、そこは数年前からの5時が止まったままだった。

昔と変わらぬ部屋...

しかしそこで奇跡的なことが起こる。

なんと時を越えて3年前の星乃から通信が入るのだった。

天才少女は時を超える装置を開発していたのである。

そこで星乃に言われた、夢が足りないという言葉、そして聞こえた助けてという言葉... その言葉で第一話決心する。

星乃が発明したスペースライトというタイムマシーンにより過去へと戻り、星乃を助けると。

こうして過去に戻った大地は、運命を変えようと動き出すのであった。

この作品は夢と宇宙がテーマになっており、ストーリーの中でも夢については多く語られている。

主人公の第一話実際、今の世の中にいるような若者の一人であり、夢より現実を重視している。

夢のある人生、現実を生きる人生。

果たしてどちらが幸せかは分からない。

どちらが正しいなんて答えはないのだから。

だがこの作品は夢をあきらめないということを伝えてくれるような作品である。

ストーリーはよく考えてあると思う一方、物足りなさを感じる部分もある。

過去に戻る方法の模写が拙く感じたり、過去を変えて都合の悪いものを回避した結果、元の世界にどのような影響があったのか。

過去と現在(未来)の関わりについて、何も解釈がないのでSF的には物足りなさを覚えてしまうのだ。

とはいえストーリーの構成もよく面白く読める作品だった。