ビーンの目から見たエンダーズのゲーム

エンダーズ・シャドー


エンダーズ・シャドー 上下巻

オースン・スコットカード 著  田中 一江訳

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オースン・スコットカード 著

田中 一江 訳

言わずと知れた名作、エンダーのゲームの姉妹編である今作品は、エンダーの補佐役を務めたビーンの視点で描かれた物語である。

ロッテルダム。この街は孤児で溢れていた。

その日の食事にありつけないのなんて日常であり、孤児同士による生き抜くための争いは熾烈であり、まさに弱肉強食であった。

その過酷な環境の中に1人の少年がいた。

名もなき孤児で、その容姿は4歳だと言うのに、2歳児程どの大きさしかない。

だがこの少年は天才であった。

大人顔負けの知能を有し、その才覚を駆使し、孤児グループのリーダーに取り入り、仲間にしてもらい生きていた。

そこでビーン(豆1粒のように体が小さいため)と言う名を与えられる。

しばらくはこのグループで生活をしていたが、ビーンを助け名前を与えてくれたリーダーの少女が、ある理由により殺されてしまう。

事件の犯人を知ったビーンは次に狙われるのが自分だと理解し逃走する。

そこでシスター・カーロッタと言う女性に出会い保護される。

カーロッタは尼僧であると同時に、バトルスクールのスカウトでもあり、カーロッタによってビーンは教育を受けて、最年少の若さでバトルスクールへと入学することになるのであった。

バトルスクールに入っても体の小ささから周囲のビーに対する態度は変わらなかったが、持っている天才的頭脳により、生徒はおろか、教官までをも出し抜いて行く。

そこでビーンはエンダーと言う存在を知ることになり、エンダーへと近づくべく訓練を積んでゆくのだった。

エンダーならどう行動したか、エンダーならどう考えるかと言うことを常に考えながらである。

そしてついにドラゴン隊のメンバーとして、エンダーと同じ部隊所属になる。

だが驚くべきことに、このドラゴン隊のメンバーリストを作成したのはビーンであった。

さらにビーンはエンダーに対し自分を小隊リーダーにしろと要求するが、エンダーはこれを一蹴する。

だがバトルを続けるうちにエンダーもビーンの優秀さを認め、ビーンもエンダーを上官として認めるようになっていた。

連戦連勝のドラゴン隊であったが、教官たちの嫌がらせのようなバトルの連続に疲弊するエンダー。

さらにはエンダーを嫌う者による襲撃… そしてドラゴン隊の解散により、エンダーとビーンたちは別れることになってしまう。

だがビーンにはわかっていた。

いずれエンダーが司令官となり、バーガーと戦うことを、そしてそれがもう間もなく訪れる事を、その時に自分もエンダーの下で戦うという事を。

その後ビーンは他の部隊長を務め、バーガーとの最終決戦に向けて、再びエンダーの元へと赴くのであった…

今作品は「エンダーのゲーム」の中でも特別な存在でもあったビーンから見たエンダーのゲームである。

特異な体型、ずば抜けて優れている頭脳を持つビーンの出生の秘密や、バトルスクールに入るまでの模写がされている。

優秀であるが故の葛藤や、エンダーに対する想い、友達に対する想いと、内面の部分が描かれている。

どんなに頭が良い天才と言えど、まだ小さな子供に過ぎないビーン。

孤児として育ち、生き抜くために必要だったのであろうが、考え方が少しずつ変化したり、自分の大切なものをしっかりと、成長していく姿が見てとれる。

エンダーのゲームに劣らぬ、名作であろうとともに、今作は全て話がつながってはいるものの、これはビーンのゲームといってもいい作品である。