ジョージ・R・R・マーティン (著)
王を名乗る5人。
5王の 争いは収束しつつあった。 戦いの末に残ったものは、 多くの死。
憎しみに悲しみ、 怒りであった。
その中にあってキングスランディングの少年王、ジョフリー を中心とするラニスター家が勢力を増していた。
一方で北王を名乗るスターク家のロブ・スタークは、母のいるリヴァーラン城へと帰還していた。
しかし母のキャトリンは、息子のロブが戦いに出ている間に、捕虜として捉えられていた王殺し「 キングスレイヤー」 のジェイミー・ラニスターを自分の娘との交換という条件で、釈放してしまっていたのである。
その行動に怒りを覚える諸侯。
激しい裏切りだと罵る者らもいた。
そして ロブ自身が、大きな怒りを買う裏切りの行為をしてしまっていた。
戦いが終わったら、フレイ家の娘と結婚するという約束を反故にし、西部から戻ったロブは花嫁を連れていたのであった。
フレイ家を裏切り結婚していたロブ王。
だが大きな勢力のフレイ家を失うわけにはいかないロブは、代わりに母キャトリンの弟でリヴァーラン城、次期当主の エドミュア・タリー をフレイ家の娘と結婚させるのと、 自身が謝罪に赴くの条件に許しを請うため、フレイ家のツインズ城へと出向くのであった。
そんなスターク家には、 これまで以上に、 過酷な運命が待ち受けていた。
キングスランディングに残る長女サンサは、 ジョフリー王との婚約を解消され、 醜い小人インプことティリオンと結婚させられてしまう。
ティリオンは妻となったサンサに対し、 優しく接するが、 サンサは素直に従うものの引き続きキングスランディング脱出を胸に秘めていた。
逃亡の旅を続ける次女 アリアの元では、 困難の連続であった。
ひょんなことから、自分が復讐するもののリストに入っていたハウンドことサンダー・クレゲインと共に、旅をすることになってしまう。
また壁の向こうでは、私生児のジョン・スノウが野人と共に行動することになるが、それはナイツ・ウォッチとしての使命であった。
野人の元から壁へと戻ったジョンは、生き残ったナイツ・ウォッチの者と共に、野人や巨人、マンモス等を連れて壁へと向かう。
< 壁の向こうの王> マンス・レイダーとの戦いへと突入していく。
さらに海の向こうでは、 デナーリスが多くの奴隷を解放し、 巨大な 戦力を整えつつあった。
そんなデナーリスの元にはジョフリー少年王に王の盾< キングスガード> の総帥の座を剥奪され、 キングスランディングを去ったサー・バリスタン・セルミーが現れたのであった。
王の戦いが収束しつつある中で、 それ以上に 予期もせぬ展開になっていくのであった。
今作、 剣嵐の大地は文庫本上中下巻で合わせて、2000ページ近くあるため、 読んでいて少々中だるみしてしまうところもあるかもしれないが、 次第に物語は一気に加速していく。
なんといっても多くの主要人物が次々に死んでいく展開に目が離せなくなる。
困難な状況に陥るのはスターク家のみならず、 ラニスター家しかり。
さらには壁の向こうでも多くの危機が7王国の中に広がっていた。
今後の展開を握るのは、やはり海の向こうの女王デナーリスであろうか。
異形<ジアザー>や亡者<ワイト>。
マンモスにドラゴンとファンタジーの要素も、かなり輪郭がはっきりとしてきており、 続きがさらに気になる。