タイトル

ハンガーゲーム1


ハンガーゲーム1

スーザン・コリンズ著  河井直子訳

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スーザン・コリンズ著

 河井直子訳

パネムという国家、 首都キャピトルは周辺の13地区を支配していた。

だが各地区は反乱を起こし、その戦いは、長きに及んだ。

その末、12の地区は、敗北し、第13地区は消滅してしまう。

残った12の地区は国家に対する反逆防止の協定を結び、この反乱を忘れぬよう、2度と反逆を行わせないための見せしめとして毎年ハンガーゲームが開催されることになった。

その名の通り、ハンガーゲームとは参加者が飢え(ハンガー)と戦いながら生き残りをかけて死闘を繰り広げるサバイバルゲームである。

12の地区からは毎年少年少女が1人ずつ、計24名が生贄として選ばれ最後の1人として生き残った者が勝者となるのであった。

第12地区の最も貧しいシームという街にカットニスという少女がいた。

彼女は生きるために違法な行為、地区外の森にて狩猟を行い、母と妹との生計を立てていた。

そしてハンガーゲームの生贄を選出する刈り入れの日が訪れる。

そこで抽選で選ばれてしまったのは自分の妹であった。

カットニスは妹を守るため、代わりに出場を志願するのだった。

もう一人の生贄の少年はパン屋の優しい少年、ピーターであった。

かつてカットニスはピーターにパンを与えてもらい助けてもらった恩人であった。

こうして2人は命を懸けたハンガーゲームへと身を投じることになったのである。

生き残るため、そして大切な人を守るためのゲームが幕を開ける...

映画、ハンガーゲームの原作。帯に偽りはない最高の作品であろう。

中世ヨーロッパのような見世物としての殺し合いのサバイバルゲーム。

それを受け入れざるを得ない12の地区の人間、その模様を娯楽として高見の見物をする裕福な首都の人間。

人間の嫌らしさ、汚らしさを表現するかのような設定の国家でありながらも、懸命に戦う少女の姿が心を打つ。

家族のため愛のため、生き残るためには人間らしさを捨てて、冷酷にならなければならない。

しかし、ほかの地区の子のために涙を流し、悲しみに暮れる姿や、ピーターとの恋の行方など誰よりも人間っぽい姿を見せるカットニス。

その結末はハラハラするものであろう。

読む手が止まらなくなるぐらい面白い作品である。

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