中村 航(著)
ーPOPPING!それは楽しくなる魔法の言葉ー
高校に入学した戸山香澄。
だが引っ込み思案の彼女は入学1週間で暮らすメイトと通算20文字くらいしか会話をしておらず、もちろん友達ができるわけでもなかった。
唯一友達と呼べるのは定時制に通っている、自分と同じ机を使用している見たこともない人。
だけど香澄の机に書いたメッセージに返事を返してくれるその人は、香澄にとって大きな存在であった。
ある日の放課後、香澄は通学路のわきにあるブロックに不思議なものを発見する。
それは星のマークに矢印が書かれたマスキングテープだった。それを見た瞬間に香澄の胸の内で何かが音を立てた。
矢印をたどっていくとまた星と矢印...星が私を呼んでいる。
香澄は星と矢印を追いかけていく。
そして辿り着いた場所は質店の裏口だった。
そこで香澄の目に飛び込んできたもの...星のシールが貼られた真っ赤なギター「ランダムスター」であった。
香澄の胸の高まりはどんどん増していく。
大好きだった歌をバカにされてから、自分を出せなくなり、何事にも脅えるようになってしまった香澄。
でもこのギターを見て、ずっと聞こえないフリをしていた心の...星の鼓動が蘇っていく香澄。
そしてここで出会った少女、市ヶ谷有咲。
星に導かれて出会った2人。
この出会いが香澄の運命を大きく変えていくのだった。
アニメ、BanG Dream! バンドリ の原案であるこの作品。
アニメとはキャラの性格や設定がだいぶ違うが、一人の少女が運命と言えるような出会いをし、そして音楽を通じて成長していく姿と、Poppin' Partyを結成するまでを描いた物語である。
自分も音楽をやっていたので、楽器を始めた頃、バンドを始めた頃、初めてのライブの時の事等、懐かしくて初々しい気持ちを思い出せる作品であった。
メンバー5人の出会いが、互いの人生において”バンドリ”というものでつながっているのは少々強引な気もするが、それを抜きにしても素敵な物語である。
後はメンバー全員が、高校生には手が出しづらい価格帯の楽器(ESP)を使っているのは触れないでおきましょう。
曲のできる課程、アニメと違うキャラ像、ストーリーと、どれをとっても楽しめる作品だろう。