テッド・チャン (著), 浅倉久志 (翻訳)
表題作を含む全8作の短編集。
エイリアンとの接触を通して、新たな認識を得ていく表題作「あなたの人生の物語」を始め、
天まで届く塔を築く物語「バビロンの道」、
天使降臨による災厄と奇跡を経験した者を描く「地獄とは神の不在になり」、
脳神経を操作することにより美と醜を失認させるのをドキュメンタリー形式で描いた「顔の美醜についてードキュメンタリー」等々を収録。
短編集であり、前評判が高いので、どんなものだろうかと期待していたが、それぞれの作品のクオリティーの高さに驚いた。
読んでいて感じたのは、作者のテッド・チャンは頭が良いのだろうと言うことである。
専門的な知識がないと書けないような文言や、文章の構成など、読んでいて少し難しく感じるところも見受けられる。
普段本を読むときは、その場面の状況を頭に思い描いて読むのだが、短編と言う短い作品の中で、物語のイメージを脳内で再生できるのかと怪しんでいたものの、杞憂であった。
後で知ったが、表題作は、はネビュラ賞を受賞、さらに「地獄とは神の不在なり」は、ヒューゴー賞受賞作。
そしてデビュー作「バビロンの塔」も、ネビュラ賞を受賞したという。
それぞれの作品を改めて時間をかけて、じっくりと読みたいと思える一冊であろう。