人格をデータ化して生きる世界

ディアスポラ


ディアスポラ

グレッグ・イーガン著 山岸真訳

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グレッグ・イーガン著 山岸真訳

 山岸真訳

時は30世紀。

人類の多くは肉体を捨て、人格をソフトウェア化し、コンピューター上の仮想都市ポリスで暮らしていた。

大半が現実世界との接触を断つ一方で、 生身の体を持つ肉体人、機械の体を持つグレイズナー等、電子ネットワークの世界の移入を拒み、現実世界で生きる者たちも存在していた。

ある日のこと、グレイズナーの観測基地でトカゲ座G-1の重力波異常を感知し、星の衝突により生じるガンマ線バーストは、地球の環境に対し、大きな影響を及ぼすことが判明する。

未来に対し不安が生じたことにより、一部のポリス市民は異種族との接触と宇宙の謎の答えを求めて、自らのコピー船団を宇宙へ送り出す、ディアスポラ計画が始まるのであった...

さすがイーカンといった内容である。

正直なところ、読んでいて理解できないことが多々あり、内容も一切面白いと感じない。

特に第1章は何を言っているのかも、最初は分からなかった。

序盤で読むのが嫌になっても不思議ではない。

理由として、物理学や数学に関する高度な専門的知識がないと理解できない言葉が、解説もなしに至る所で展開されていること。

そして30世紀という果てしない未来の話で、造語が多いことによって、より内容が難解になってしまっている。

読み方としては造語の解説を読み、理解した上でネット等で参考文献を手にしながら、解読していくのがいいのだと思う。

万人向けではないが、それでも世界中で、多くの人から支持されている作品であるので、時間をかけゆっくりと読み解いて行くのがこの本の楽しみ方ではないかと思う。

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