その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート⑦(47)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート⑦(47)

音乃木坂図書室 司書

打ち合わせを終え、和やかな雰囲気である。

そこでコーヒーをすすっていた真姫が話を戻すべく、にこに言う。

「それでにこちゃん、UPadがどうしたのよ?」

「フフフッ...よくぞ訊いてくれたわね真姫」

”いやっ...にこちゃんが見てって言ったんじゃないの...”と心の中で思う真姫はグッと堪える。

口にだすとまた話がそれて、いつまでたっても進展しないからである。

「ほら、これ見てくれる?」 絵里と真姫がUPadを覗くと、そこにはBiBiのHPが開かれていた。

にこがBiBiのホームページを作ろうかと言って、わずか2週間足らずである。

すでににこはホームページの作成を完成させていたのだ。

その出来はプロのA-RISEのホームページと比べても遜色のないものであった。

「えっ、本当に?にこちゃんすごっ...」

「まだあれから何日も立ってないのに凄いわね、にこ!」

にこに対しもろ手を上げて喝采する2人である。

「そうかしらね。私からしたら普通なんだけど」

「にこにこんな才能があったなんて正直思ってもいなかったわ」

「私も初めてにこちゃんに対して凄いって思った」

一瞬、苦虫をかみつぶしたような顔をするにこであるが、これもまたいつもの事である。

にこは構う事なくホームページについての説明を始める。

まだ全然中途半端だけどねと言いながらも、完成度の高いものであった。

メンバー3人のプロフィールを初め、PV動画、ライブスケジュール、ディスコグラフィー、グッズといったカテゴリーに分かれており、何よりもホームページを開くとともに流れるサウンドと映像のクォリティが凄かった。

真姫はおもむろにプロフィールを指先でタッチしてみる。

するとページが切り替わり、つい先日撮ったばかりの写真と共に、3人のプロフィールが書かれていた。

それを見た真姫の表情はややしかめっ面といった感じである。

「ねぇにこちゃん...何よこのプロフィールは?適当すぎるわよ...」

絵里も同じような表情だ。

「何で私の趣味が先輩イジリで、特技がにこにーダンスなのよ。イミワカンナイ!たしかににこちゃんイジルのは好きだけど、にこにーダンスって何!?全然イミワカンナイ!」

憤る真姫だが、にこは全く気にする気配はない。

だが真姫が次に発した言葉によって、にこは大人しくなる。

「それにこの絵里とにこちゃんの身長おかしくない?」 真姫の指摘した2人の身長は、確かに知っている人にとっては違和感を覚えるものであった。

μ'sの時のプロフィールだと、絵里は162㎝、にこは154㎝だった。

それがこのBiBiのプロフィールではそれぞれ168㎝、148㎝となっている。

「あっ、これ私のは合ってるわよ。私まだ背伸びてるのよね。昨年は1年で6㎝も伸びてたの」

「そっか。確かに言われてみれば絵里は前より少し大きくなったわね。でもさ、何でにこちゃんは小さくなってるのよ?」

真姫の問いに対し、にこは俯き気味に小声でつぶやいた。

「サバよんでた...」

小さな声でボソボソっと言ったにこの声が聞き取れなかったのだろう、真姫は再び問う。

「えっ、何だって?もっと大きな声で言ってよ」

さすがに観念したのだろう、にこは大きな声で言った。

「ごめんなさい、μ'sの時サバ読んでました。本当は148㎝です。1年で1㎝も伸びてません」

μ'sが終わりツインテールをやめたにこもさすがに6㎝をごまかすのは無理だと思ったのだ。

だからBiBiのプロフィールには嘘偽りなく書いたのであったが、まさか真姫が自分の身長を覚えているとは思ってもいなかった。

それを訊いて真姫は思わず声に出して言っていた。

「だと思ったー、だってにこちゃん小さいもん。μ'sで2番目に小さい花陽が156㎝でにこちゃんは154㎝だったでしょ。でも花陽と並ぶとにこちゃん大分小さく見えてたもん」

小さいと連呼されて少しへこむにこ。

「うるさいわよ...あんまりちいさいって言わないでよ...今はそこまで気にしてないけど、あの頃は小さいのを結構気にしてたのよ。正直、コンプレックスだったんだから...」

たしかに日本人女性の平均からすると、少し小さいにこではあったが、まさかそれを気にしていたとはつゆ知らず、口に出してしまったことを少し後悔する真姫。

「ごめんねにこちゃん...そんなつもりじゃなかったんだけど...」

そこへ絵里がすかさずフォローに入る。

「でもにこは小さいけどとてもかわいいよ。小さいからこその魅力がたくさんあって、女の子っぽくてかわいらしい、そんなにこが私は大好きだよ」

絵里のフォローはとても優しかった。

たしかに絵里はにこと比べたら、日本人離れしたルックスでスタイルも抜群であり、とても同い年の女性には見えないだろう。

だがにこはにこで十分にかわいくて、絵里とは違った魅力に溢れているのだ。

絵里の言葉が嬉しくて、少し目元が熱くなるにこだった。

そんな2人を見て真姫も慌ててフォローする。

「私もそうよ。たとえにこちゃんが大きかろうと、小さかろうと、太っていようと痩せていようと関係ないわ。そんなの関係なしににこちゃんが好きなんだから」

真姫が言うと、にこへのリアルな告白に聞こえるのはなぜだろうと絵里は思っていた。

「真姫、あんたフォローが下手ね。でもありがとね。それより真姫はよくみんなの身長なんて覚えてるわね。」

「私、身長とか誕生日って1回聞いたら覚えちゃうのよね」

にこの思わぬ暴露はあったものの、ホームページのクオリティとは対照的に、プロフィールは名前と身長以外は本当に適当であった。

後々修正されるとはいえ、絵里の趣味はツンデレであり、全く持って意味不明である。

これはユニット名を決める時に散々自分の意見を否定した2人に対する、にこの地味な腹癒せであった。

それはおいておいて、BiBiの3人、結成してまだほんのわずかではあるが、今自分たちにできる事を着実に、そしてライブへ向けて確実に歩み始めていた。

続く

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