その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート⑧(48)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート⑧(48)

音乃木坂図書室 司書

その日の夜、高坂家にてー

夕食を終えて、居間では穂乃果と雪穂がTVを見ながら、くつろいでいた。

そして自然と話題はこの日のμ'sの打ち合わせについてとなっていた。

高坂兄弟はよく喧嘩をしているイメージだが、普段は仲が良いのだ。

μ'sが復活するという事は妹の雪穂にとって自分の事のように嬉しい事であった。

雪穂にとってμ'sは特別な存在なのだ。

雪穂は当初、進路を決める際の第1希望はUTX高校だった。

近代的な高層ビルの校舎であり、外装・内装共に美しく、すべての環境が整った、まさに現代最高の最新の高校、それがUTX高校である。

UTX高校に普通科はなく、専門的な科があるのが特徴であり、例えば美術家であったり音楽家といったものがある。

その中でアーティスト・パフォーマンス科にあのA-RISEが在籍していたのだ。

UTX高校への入学希望者の数は天井知らずであり、都内でも有数の入学難関校である。

一方で同じアキバにある音乃木坂学院は長い歴史がある伝統校であるものの、入学希望者は少なく、廃校の危機に瀕していた。

自分の母が卒業生であり、姉も音乃木坂へと通っていたが、雪穂は自分が音乃木坂へ進学するなんて考えてもいなった。

だが、μ'sとして活動している姉の姿を見ているうちに、次第に考えは変わっていった。

気づけば雪穂はμ'sの事がきになってしょうがなくなっていた。

事あるたびに、友人の亜里沙とμ'sのライブへと足を運ぶようになっていた。

μ'sの中心メンバーとして活躍する姉に憧れに近い感情を抱くようになり、自分も姉のようにスクールアイドルとして活躍したいと思うようになっていた。

そのころにはもう迷う事なく音乃木坂への進学を決めたのである。

「お姉ちゃん、今日はあまり夕御飯食べなかったね」

打ち合わせは隣の部屋で聞いていた雪穂だったが、その後のくだりについては知らないため、姉の食欲がいつもより少ない事に気づいた雪穂は違和感を覚え、穂乃果へと尋ねたのだった。

「あっ、うん...ちょっと色々あってね...」 その瞬間に雪穂は悟る。

姉が太ってダイエットしようとしている事に。

すぐに気を利かせて話題を変える雪穂はできた妹である。

「ねぇ、お姉ちゃん、今日の打ち合わせ良かったね。μ'sをもう一度やってくれる事になってすごい嬉しいもん。亜里沙なんて喜びすぎて泣いてたくらいだし」

思わずしかめっ面を作る穂乃果。

「今日の打ち合わせ覗いてたの?」

「いや、覗いたっていうか、隣の部屋にいたら聞こえてきたっていうか...アハハハ...」

「まぁいいけど、まだ運営本部にも正式に返事してないし、あまりいいふらさないでね。」

「うん、わかった。μ'sの復活かぁ、本当に嬉しいな」

「そっか...でもね、本当にどうするか悩んだんだよ。どちらかというと私は最後まで反対だったから」

「えっ、そうなの?何で...?」

「μ'sをやれるのは当然嬉しいよ。でも終わりって決めた時、あれだけみんなで苦労して決めたから...雪穂もそれは知ってるでしょ。

だからね、また復活して終わる時の事考えたら辛いなぁ...って思っちゃてね」

「確かに...そうだね...それだけμ'sの存在はお姉ちゃん達にとって大きいって事だよね。μ'sは本当にすごいよ、人気も実力も。でもさ、一るだけ言わせてもらうと、終わる時の事考えるなんて、らしくないんじゃない?」

妹の言葉に穂乃果は今でも逡巡するかのように視線を逸らす。

やがて一息ついて穂乃果は言う。

「うん...そうだよね。少し色々考えすぎちゃったかな...とにかくもう一度やるって決めたからは全力でやり切るよ。それに...もう一度やる事に対しては私も誰よりも嬉しいから」

穂乃果は理事長からμ's復活を打診されてから相当に悩んでいた。

μ'sを作ったのは穂乃果である。

それを終わらせると決めた時の心境は計り知れないものだったであろう。

きっと誰よりも辛かっただろうし、実際人の目のつかない所で流した涙の数も数えきれなかった。

それでもμ's創設者として最終的な決断を下したのは穂乃果なのだ。

だからその時の事を思うと、また終わってしますのが分かっていながらの活動である今回の復活には、相当悩んだのあった。

だがμ'sを今一度やれて誰より嬉しいのも事実である。

妹の雪穂の言う通り、やる前に終わることを考えるなんて、自分らしくないなと思う穂乃果だった。

そんな穂乃果は話題を変えて、妹のユニットの事を尋ねた。

「ところで雪穂のユニットはどうなの?おしるこ少女(笑)は?」

「あまりその事は訊かないで...っていうか少女じゃないし、(笑)って何!?(仮)だよ...まぁいいけど...たぶん、いや、絶対ユニット名変えるから」

「ふーん、だったら何でそんな名前にしたの?」

「亜里沙が、おでんかおしるこかカレーって言ってきかないから...じゃあとりあえずって事でおしるごガールズ(仮)にしたの...」

「おでんとカレーだったらどうなってたの?」

「知らない...カレーは飲み物とか、おでんは缶とかよくわからない事言ってたけど...亜里沙は中学から仲の良い親友だけど、たまに、というか時々何言ってるのか理解できない時があって...」

「亜里沙ちゃんおもしろいね。そういう所も姉妹で似るんだね。絵里ちゃんもたまーにだけど、話が噛み合わない時あるからねー」

「そんな訳で、今はおしるこっていうダサい仮ネームだけど、そのうちユニット名変えるから」

「えっ、そのままで良くない?」

「良くないよ!絶対ありえない!」

からかうように言う姉に対し、全力で否定する雪穂。

「とにかく応援してるから頑張ってね雪穂!」

穂乃果のその姿は優しい姉として、また、スクールアイドルの先輩としての姿だろう。

雪穂も姉に応援してもらえる程、心強い事はなかった。

何と言っても、姉はあのμ'sの高坂穂乃果なのだから...

「うん、ありがとう!アキバドーム目指して頑張るよ」

ラブライブ、アキバドーム大会への参加を決めたμ's。 今

一度、そしてこれが本当に最後のμ'sの物語である。

続く

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