その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-013 音乃木祭⑦(92)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-013 音乃木祭⑦(92)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-013 音乃木祭⑦(92)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

ステージ裏では次の出番に向けて、Ray-OGの3人が最後の確認を行っていた。

[ 14: 40~タイムテーブル5組目]

Ray-OG。

彼女たちは高坂雪穂、綾瀬亜里沙、河北梨緒の1年生3人組ユニットである。

当初はおしるこガールズ(仮)と言う名でスタートしたユニットであったが、メンバー2人(雪穂と梨緒)の激しい反対もあり、その後Ray-OGへと改名された。

メンバー3人の名前の頭文字をとりRay、そして音乃木坂ガールズでOG、それがRay-OGである。

ちなみにOGはお汁粉ガールズの名残と思っている人もいるがそんなことはない。

リーダーを務める梨緒のセンスは秀逸であった。

帰国子女で、小さい頃から音楽とダンスをやっていた梨緒はRay-OGにおいても作曲と振り付けを担当している。

以前に、ことりが絵里と真姫を足したような子と表現した位万能な子である。

彼女たちは1年生ユニットでありながら、激戦のラブライブ関東地区予選を音乃木坂のスクールアイドルとして唯一、最終予選に進出していた。

大激戦区の関東で、20組の枠の最終予選に進んだのは凄いことであり、誰もが注目していた。

このRay-OG、かなり特徴的なユニットである。

メンバー3人のうち2人が帰国子女、亜里沙はロシアのクオーターで梨緒はスペインのハーフである。

梨緒と亜里沙は日本に来てそんなに長くないため、3人の会話が成り立たずに雪穂は苦労することも多かった。

とは言え、それぞれがスクールアイドルに対する思いも強く、ユニットとしての結束力も強かった。

だが、そんな個性的なメンバーであってもライブ前の緊張を隠せないでいた。

特に亜里沙はそれが顕著だった。

不安を抑えることができずにうろちょろと落ち着かない様子であり、雪穂も亜里沙とまでは言わないものの、その表情からは緊張が見て取るように伝わってくる。

だがそれも仕方がない。

何せBiBiとA– RISEの後での出番である。

会場は前のライブの余韻が残っている。

初ライブの彼女たちにとってはきっとすごい重圧だろう。

そんな雰囲気の中、1人体を動かしウォーミングアップしていた梨緒が2人に声をかける。

「へい、2人とも、何硬くなってんのさ。先輩たちがこれだけ会場を温めてくれたんだよ。私たちもライブ楽しもうよ!」

明るく声をかける梨緒。その一言で雪穂はだいぶ落ち着いたのだろう。

笑顔を見せている。

しかし亜里沙には声が届かないのか、いまだに表情は固まったままふわふわと浮き足立っている。

そんな亜里沙を見かねて、梨緒は彼女の正面に立ち、両頬をプニッとつかみ、捻りあげる。

思わず亜里沙は声を上げる。

「痛っ…いたたたた…痛いって梨緒!」

ようやく我にかえったように反応する亜里沙。

「あーりーさー、スマイル!笑顔だよ!死んだ魚みたいな顔してるぞ、ほら笑って!」

ややひきつった笑みを浮かべる亜里沙だが、梨緒の言葉が効いたのだろう。

落ち着きを取り戻した亜里沙の頬を、今度は優しく両手で包み込み梨緒は声をかける。

「亜里沙は他の誰よりも可愛いんだから笑って。ねっ。

亜里沙のお姉さんは確かに凄いよー。私も大好きだもん。

でもね、亜里沙はそんな絵里さんの妹なんだよ。だから自信を持って。

絶対亜里沙なら大丈夫。だから笑顔でライブ楽しもうよ」

亜里沙の顔に自然な笑みが戻る。

どうやら梨緒の言葉で吹っ切れたのだろう。

「梨緒ありがとう。でも死んだ魚はいや、せめてノルウェーサーモンにしてよ」

言ってる意味がわからないがこれがいつもの亜里沙である。

どっちも死んだ魚じゃんとツッコミたい雪穂も言う。

「私もありがとう。この3人でなら絶対にできるよ!」その言葉に梨緒は答える。

「うん、もちろん!私は音乃木坂に入学して2人を見たあの日、その瞬間に絶対2人とスクールアイドルをやるって決めたんだよ。

こっちこそありがとうだよ。私たちなら大丈夫!」

梨緒は2人にそう告げた。

3人が初めて出会った日…それは入学式後のクラスのホームルームでだった。

そこで2人と出会った梨緒はその時にこの2人とスクールアイドルをやると決めたのである。

そして出会いから数日と言う速さでユニットを結成したのであった。

3人は手を取り合い、梨緒が声をかける。

「よっしゃ、行こう雪穂、亜里沙。私たちの物語のスタートだよ!」

つないだ手を上に掲げて“おぉー“と3人は声をそろえる。

いよいよ準備は整った。Ray-OGの物語のスタートだ。

ステージに立つ3人の表情は穏やかである。

良い具合に緊張も溶けており、まだまだ先輩に比べたら知名度は低いものの、応援する声や、名前を呼ぶ声もある。

3人はオープニングをMCでスタートさせた。

「みなさんはじめまして、Ray-OGです!」

3人は声を揃えていた。

そして自己紹介を始める。

アイドルのライブにおいて自己紹介は定番なのだ。

「私と亜里沙はお姉ちゃんたちを見てμ‘sに憧れました。そしてμ‘sに入りたいと言う思いでこの音乃木坂に入学しました。

でももうμ‘sはない…だから今はこの3人でμ‘sに負けない位のスクールアイドルになりたいと思っています。だから皆さん応援よろしくお願いします!」

雪穂の言葉に大きな船が飛ぶ。

ほとんどの人が雪穂と亜里沙がμ‘sの穂乃果と絵里の妹と知っており、自然とRay-OGにかかる期待は大きいものだった。

雪穂はいまどきの女の子である。

ファッションやスイーツが好きで、姉とは違う魅力があるかわいい女の子なのだ。

「私はずっとμ‘sを見ててお姉ちゃんを見てて…いつか絶対にμ‘sと同じ舞台に上がるのを目指していますので、たくさん応援してください!」

姉に負けない位の美しいルックスの亜里沙に大きな声援が飛ぶ。

「ハロー、河北梨緒です。えっとね、Ray-OGはかっこよくて、可愛くてノリノリのスクールアイドルだよ。みんなも一緒に楽しんでね!」

梨緒の存在感はすごかった。美しいルックスに抜群のスタイルはとても高校1年生には見えない位だ。

そしてその態度と度胸も別格だった。

この3人が絶妙なバランスを醸し出している。

それはまるでA– RISEのように…

挨拶を終え3人はポージングをする。

すると会場は一瞬の静寂に包まれた。

続く

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