音乃木坂図書室 司書
μ'sicf。正式名μ'sicforeverミュージックフォーエバーは、元μ‘sの6人、穂乃果、海未ことり、真姫、凛、花陽による音乃木坂のスクールアイドルである。
第3回ラブライブはμ‘sとしてゲスト出演をしたので、エントリーを取り下げたが、仮にもし出場していたら、間違いなく優勝候補筆頭だったのであろう。
μ'sicforeverとしてライブに出演したのは、音乃木坂学園祭での1回のみであったが、ネットに動画をアップするや、たちまちμ‘sの後継ユニットとして注目を浴びていた。
実際にそのクオリティーの高さは群を抜いている。
そんな彼女たち当面はライブ出演等の予定もなく、今はラブライブ第4回大会へ向けての練習であるが、誰1人手を抜くことなく、常に練習からライブ本番を意識した質の高い練習を行っていた。
時刻は8時半を回った頃、一息ついて休憩をしている時であった。
武道場に着物姿の美しい女性がやってきた。海未の母である。
「母上、おはようございます。どうなさいましたか??」
丁寧な言葉遣いで母に尋ねる海未。
「海未さん、皆さん、おはようございます。朝食の準備をしておきましたので、終わったら皆さんで来てくださいね」
「上、おばさん、ありがとうございます。!」
喜々とした表情でそう言ったのは穂乃果である。
穂乃果と海未は物心ついた、小さい頃からの友人であり、海未の母ももちろん穂乃果のことをよく知っている。
子供の頃から、人一倍よく食べる子だったと言うことも。
海未の母は、笑顔でうなずいて武道場を後にした。
そして残りの時間もきっちりと練習をこなした。
6人は9時を過ぎたところで、この日の練習を終えた。
早朝より約4時間、質、内容ともに良い練習を行えた。
6人は充実の表情だった。
そして6人揃って、園田家で朝食をとることに。
早朝から練習を行っていたため、すでに6人は空腹である。
特にいつもの2人はすごかった。
どこかから漂ってくるおいしそうな匂いに呼応するかのように、穂乃果と花陽のお腹からは空腹を訴えるメロディーが鳴っていた。
そして海未の案内で食卓までやってくるや、2人は最高の笑みを見せる。
「すごい!こんなにたくさんの料理…!」
「うわぁー、ご飯が輝いてます。!」うれしそうに穂乃果と花陽が言った。
いやこの2人だけではなく、他の4人も同様にうれしそうである。
園田家の朝食はすごかった。
和食で何品ものおいしそうな料理が用意されており、まるでどこかの高級旅館か料亭のようであった。
どうやら海未からの事前情報で、かなりの大食漢が2人いるということが伝わっていたらしい。
海未の母と祖母が、腕によりをかけて用意してくれたのである。
練習後の為、穂乃果と花陽は当然の事、他のメンバーの食欲もいつもよりすごかった。
しっかりと自分たちを追い込む厳しい練習の後に、みんなで囲む食卓は最高のものであった。
こうして夏休みの間、μ‘sicforeverはそのだけにお世話になるのであった。
そして翌日のこと。
海未の家で練習を終えた6人は穂乃果の家に集まっていた。
園田家で豪華な朝食をとってきていたが、高坂家の今では、穗村特製のおいしい和菓子の数々が並んでいた。
まるで女子会であるが、どうやら何かの打ち合わせを行っているらしい。
スマホを確認するように見た真姫が言った。
「えーっとね、私はこの日から1週間、海外旅行だからだめね。後は…月末の土曜はBiBiのライブがあるから駄目だけど、それ以外はオーケーよ」
「えーっ、まきちゃん、海外かいいなぁ、どこ行くの?お土産よろしくね!」
「ハワイだよ。お土産はチョコで良い?閉じる
「ハワイのラーメンがいいなぁ。!」
「うんうん…ハワイにラーメンのお土産なんてないと思うけど…」
なぜか日本人のアメリカ土産と言えばチョコとなっているが、凛のラーメンのリクエストはさておき、みんなが真姫のお土産を期待していた。
「私はこの人この日はお出かけするからだめだよ」
ことりが言った。
穂乃果がうなるようにつぶやく。
「うーん…全員の予定を合わせるのは無理かなぁ。…」
6人はそれぞれ8月の予定を確認しあっていた。
8月のどこかで、9人で遊びに行きたいと穂乃果が提案したのである。
つまり打ち合わせとはμ‘sicforeverの活動に関することではなく、ただ単にみんなで遊ぶための打ち合わせだった。
6人でならまだ都合もつきやすかったが、OGの3人も含めて9人でとなるとなかなか厳しい。
大学生、短大生の3人はそれぞれに予定もあるし、希とにこはバイトもしている。
まずは6人での予定を合わせOGの3人に確認と言う形になる。
穂乃果は夏が大好きなので、夏ならではのイベントに行きたいと考えていた。
穂乃果が言う。
「ねーみんな、この日は空いてない!江戸川の花火大会があるんだけど、みんなで行きたいなぁ」
それに海未とことりが応じる。
「私は大丈夫ですよ。花火大会いいですね」
「私もオーケーだよー」
そして2年生の3人もオーケーであった。
後はOGの3人に確認するだけである。
穂乃果はすまほー取り出して電話をかける。
「あーもしもし、にこちゃん。今度の江戸川花火大会の日空いてる?みんなで行かない?」
「、その日はダメなのよね。Αのライブで何ヶ月も前にチケットも買っちゃってるの。ごめんね。穂乃果、また今度ね!」
にこに断られた。穂乃果はめげずに絵里へ電話する。
「えりちゃん、今度の江戸川の花火大会みんなで行かない?」 。
「ごめん。その日は旅行で北海道に行ってるのよ。また別の花火大会一緒に行こう」
絵里にも断られた。穂乃果は諦めずに希へ電話する。
「望ちゃん、今度の江戸川花火大会の日なんだけど、…」
「あぁ、それなら獅子座流星群やねぇ。星から得られるパワーは特別なんだよ。ほな、またねー」
「………」通話終了。OGの3人は全滅であった。
希に至っては、以前にも似たような光景があったが、理由すら意味不明であった。
「希はなんだって?穂乃果?」 真姫がたずねる。
「獅子座流星群は特別だって…」。
「はい?どういうこと?」
誰1人その意味を理解できるものはいなかった。
「とりあえず3人ともダメだったから、仕方ないね。花火大会は6人で行こう。」穂乃果が言った。
結局OGの3人とは予定が合わずに、6人で花火大会へ行くことになったのであった。